劇団EXILE・佐藤寛太の素顔「言いたいこと言わないと気が済まない」

スポーツ報知
インタビューに答えるEXILE・佐藤寛太

 俳優の佐藤寛太(22)が出演する映画「jam」(SABU監督)が12月1日に公開される。同作は劇団EXILEのメンバー9人が総出演しており「全員は映画で初めてだったので楽しかった」という。今年は出演作が目白押しで、映画は「DTC―湯けむり純情篇―」を始め「走れ!T校バスケット部」や「家族のはなし」(現在公開中)、ドラマもテレビ東京系「駐在刑事」に出演している。高校から俳優を志していただけに演技へのこだわりも人一倍で「納得のいくまで監督と話します」とも。マイルドな顔からは想像できない“熱さ”を持っている。

 「jam」は青柳翔(33)、町田啓太(28)、鈴木伸之(26)ら全劇団員が参加する初めての映画だ。主人公3人のストーリーが絡み合い衝撃のラストを迎えるエンターテインメント作品。佐藤は出番こそ少なかったものの、先輩と過ごした日々が貴重だったという。

 「舞台では劇団EXILE公演で共演しましたが、映画で、しかも全員一緒にやるのは初めて。インする前からワクワクでした。台本いただいた時はストーリーの絡み合いがすごくて、撮っていてもどうなっていくのか想像できないんですよ。だって鈴木さんのセリフ1行とかだったりですから…。自分の出演は少なかったですが、みんなと久々にご飯を食べる機会もあって撮影は楽しかったです」

 ―今年は映画にドラマに出演作品が続いた。

 「今まで撮っていた分が今年に集中してしまった形です。『今日も嫌がらせ弁当』(来夏公開予定)の撮影も終わっているし、もう撮りだめも少ないですね。来年も映画の予定は入っていますが、編集作業とかで出すのに1年かかるじゃないですか。来年は撮りだめして、また再来年に露出が増える感じですかね」

 現在公開中の「家族のはなし」では主演の岡田将生らとバンドを組み、ドラマーに挑戦している。

 「最初は『えっ、俺、ドラム?』って思いました。とにかく練習期間がなくて(共演の岡田と金子大地と)3人そろってやったのが2日だけで、しかも2曲のベースコードを覚えなくちゃいけない。それは無理でしょ。ギターは持っていても1か月に1回触るかなって感じで、バンドもドラムも初めてですから。スティックを頂いたのでパットを買って叩く練習をしましたが、大変でした。『嫌がらせ弁当』では和太鼓やってるんですが、同じ打楽器でも全然違います。ドラムはリズムをつかむと上達も早いんですが、和太鼓は叩いている姿の美しさも求められる分、難しさもありました」

 「T校バスケット部」ではバスケにも挑んだ。俳優仲間と一緒に練習に励むことで絆も強くなったそうだ。

 「僕が一番練習したんじゃないかというぐらいやりました。(仲のいい北村)匠海や小関(裕太)君と『春待つ僕ら』(12月14日公開予定)という違う映画なんですが、同じバスケの話だったので『練習しようぜ』って公園とかで一緒にやっていました。バスケしていると、お酒飲んでいる時より会話が弾んだりして、小関君とはバスケを通じて仲良くなりました。志尊(淳)君も含めてみんな(俳優として)売れていますが、まあ自分としては常に出演している作品があるので、そこはちょっと誇りを持てますね」

 中学の時にトム・ハンクス主演の米映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(11年)を見て俳優を志したというが、出発は“モデル”からだった。

 「地元のEXPG(養成所)で特待生オーディションがありました。いつもは『歌とダンス』が審査の条件だったんですが、僕の受けた年だけ“モデル特待”というのがあって、その時身長が180センチで、そんなに高いヤツはいないかも、と思って受けたら通っちゃいました。もともとEXILEファンというのもありますが、TETSUYAさんがコーヒーをやっていたりAKIRAさんはお芝居。好きなことに挑戦させてくれる事務所なのかなという勝手な期待は持っていました」

 養成所に入ってLDH主催のボーカルバトル、パフォーマーバトルと続けざまにオーディションを受けたが…。

 「受かる自信は1ミリもなかったです。自分の歌声に夢を抱いたことはないです(笑い)。とりあえず本社の方に顔を覚えてもらおうって。試験場は東京の汐留で、人がめちゃ多くて2時間は待ちました。SHOKICHIさんの『Everlasting Song』を歌いましたが、持ち時間が20秒ですよ。しかも、10秒歌ったら途中で隣の人が歌い出すから、1人だけの時間は10秒だけ。審査員席に『あ、HIROさんいる』って感じでした。パフォーマーバトルも、EXILEさんに加入した世界さんとか2歳からダンスしているんですよ。僕は経験10か月ですから、これも無理がありました」

 ボーカルとパフォーマンスの2つオーディションに落ちて劇団EXILEの研究生となり、俳優になるべく上京を決断する。

 「落ちた人を対象に劇団のオーディションを勧めるメールが届いて、役者志望は僕だけだったのでイケるというのはありました。僕はEXPGに入って初めて『こんなお仕事している人がいるんだ』って知ったと同時に『この年でも仕事ができる』という思いも湧いて、受かれば上京するみたいな話は親としていました。ぶっちゃけ、今考えると、大学行っていても良かったかなと思いますが、世に出るのが数年遅れるから、たぶん今のキャリアはなかったでしょう。今はこれでよかったとは思いますが、親としては大学に進学してほしい気持ちは多少あったでしょうね」

 劇団に入って舞台を経験するが、気持ちは映画の方に向けられていたという。

 「やっぱり映画が好きでこの仕事を始めたので、気持ちはどうしてもそっちに行っちゃうかもしれません。撮影では今は監督さんも結構、『好きにやっていいよ』って言ってくれることが多いので助かりますが、僕はセリフ回しとか不自然に感じた時は絶対に言います。大御所さんがいても、ちゃんと監督と話をするようにしています。これ、性格ですね。言いたいこと言わないと気が済まないので…。昔『HiGH&LOW』の撮影の時に『このセリフって俺が言って大丈夫かな』みたいなのがあったんですね。監督さんにもやりたいモノがあったんでしょうが、自分の中で理解できないまま本番が来てやったんですよ。その芝居を見たらやっぱりダメなんです。それ以来、自分が納得してからセリフを言おうと決めました」

 今年は「HiGH&LOW」のスピンオフの映画で同じ山王連合会に所属する山下健二郎(33)、佐藤大樹(23)と共演している。

 「撮影はすげえきつかったです。期間がギュッでしたが、内容はてんこ盛り。歌ったり踊ったりバイクの運転シーンも時間取ってやりました。インする前にリハして、インしてからも現場でまた構築していく感じで、大変でしたが、楽しかったです。僕のデビュー作品はほぼハイローで(2人とは)その頃から一緒にやっているので気心も知れています。先輩ですけど、こちらが背筋伸ばしてシャキッとしている距離感ではなくて『一緒に作っていこうぜ』という感じでいてくれるのでやりやすいです。続編をもし作るとしたら『どうしたいんだ』とか、3人で集まった時にします」

 ―劇団の先輩とはどんな距離感。

 「一緒に仕事にしていく仲間、家族という感じです。僕が1対1でいるのは鈴木さんと町田さんが多くて、青柳さんと(八木)将康さんや小野塚(勇人)さん、小澤(雄太)さんとは4人ぐらいでいることが多いです。SWAY(野替愁平)さんはドーベルマンと兼任だからがあまり絡みがないかな。秋山(真太郎)さんも1対1でご飯行くこと多いですね。メンバーそれぞれで違いますけど。演技の話をすることは一回もないです。僕が一方的に『今の現場がこうで、困っているんですよ』と言って、答えていただく感じです」

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