桜井ユキ、芝居はデトックス活動「役の中に自分の毒素を置いていける」

スポーツ報知
主演映画「真っ赤な星」について「なにも考えずに、できれば一人で見てほしい」と語る桜井ユキ

 1日に公開された映画「真っ赤な星」(井樫彩監督)で主演した女優の桜井ユキ(31)が存在感を見せている。小松未来(15)演じる、もう一人の主人公・陽(よう)から特別な思いを寄せられる元看護師・弥生役で、人物の抱える心に突き刺さるような孤独を演じきったが、桜井にとって「演じることはデトックス活動」なのだという。

 美しいだけではなく、雰囲気のある人だ。目の力が強く、屈託のない表情を見せたかと思えば、まるで地獄を見てきたような、底知れぬ深い暗がりを帯びているようにも見える。その捉えどころのなさは、今作で桜井が演じている弥生にもどことなくリンクする。

 大役は、約300人が参加したオーディションで射止めた。メガホンを執った井樫監督は、学生時代に製作した「溶ける」が第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオンに正式出品されるなど、国内外で注目されている22歳の新鋭で、今回が長編デビュー作。桜井は「近年受けたオーディションのなかで、一番パンチがあったかもしれません」と振り返る。

 「監督が、人の目を見ながら濃厚な質問をバンバンぶつけてきて、泣き出しちゃう子もいた。『子供産みたいと思いますか』『母性ってなんだと思いますか』とか尋ねられて、私もつい個人的なことをボロボロ言っちゃった。面白い監督だなあ、と思いました」

 劇中で桜井が演じた弥生は、かつては看護師だったが、現在は体を売って生計を立てているという役どころ。深い孤独を抱えた心情の動きに加え、客や恋人とのぬれ場や、陽役の小松とのラブシーンなど果敢に挑んだ。「小松さんとのシーンは時間がかかりました。『こうしよう』と思った瞬間、作為が見える瞬間にアウトだと思っているので…。いかに頭が働かないところまで感情がいけるか。繊細さが必要なシーンでした」

 「覚悟」や「体当たり」などの表現がつきまとうラブシーンではあるが、桜井は「特に抵抗はないです」とサラリと言い放つ。「もともと『どう見られたい』とかはないですね。だって役のせいにできますし。どんなに不細工に映っても、お芝居だからこそ、抑えている感情が出せると思うんです」。カメラの前に立つとき、もう桜井の腹は据わっている。

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