茂木健一郎氏、M―1グランプリ暴言騒動に言及「好き嫌いは感情の履歴書」「誰も悪くない」

スポーツ報知
茂木健一郎氏

 脳科学者・茂木健一郎氏(56)が8日、自身のブログを更新し、「M―1グランプリ」の審査員を巡る暴言について見解を述べた。

 2日に行われたM―1グランプリ終演後の打ち上げで、お笑いコンビ「とろサーモン」の久保田かずのぶ(39)と「スーパーマラドーナ」の武智正剛(40)が、審査員の上沼恵美子(63)に暴言を放っていた。これを武智がインスタライブで配信(後に削除)、大騒動になっていた。

 茂木氏は「M1グランプリの審査員の方に対する『暴言』について。」のタイトルでブログを更新。「個人の中傷はよくないと思いますし、女性を蔑視したり決めつけたりする言葉は絶対に使っていけないと思います。その意味で謝罪、撤回されたことは当然だと思います。今回、このような事態になってしまったのは、それだけ、芸人の方にとってM1グランプリが真剣勝負の場だということでしょう。」と記した。

 茂木氏は続けて「ここで考えたいのが、審査員の方が『自分の好み』や『自分の主観』で審査をすることの意味。人間の脳においては、もちろん、客観的な基準やロジックに基づく思考もありますが、最初に起こるのは感情的な好き嫌いの反応で、基準やロジックはそれを後付けで説明するために用いられることが多いのです。ですから、審査員の方が、自分の好き嫌いで審査をすること自体は、悪いことではないと思います。ただ、それを、好き嫌いというかたちでは表現しないで、客観性のある言葉でできるだけ説明しようとするのも、一つのやり方だと思います」と審査についての持論を展開した。

 さらに「それを、自分の好みで審査すると明言するのは、一つの見識ではあるし、正直ではあるし、その審査員の方の人間性がよりストレートに出てしまうのでしょう。なにしろ、好き嫌いには、その方の人生のそれまでの全部が反映された、いわば感情の履歴書のようなものですから。そのようなストレートな人間性は、審査を受けたりコメントを聞く側にはより直接的に作用して感情をかき立てることもあるので、今回のような事態になることもあるのだと思います」と今回の騒動を“解説”した。

 「全体として見ると、誰も悪くないし、ただ、それぞれの人生の真剣勝負がぶつかって、こんなかたちになってしまったのだと思います」と結んでいた。

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