【報知映画賞】主演男優賞・役所広司 樹木希林さんに俳優人生学んだ 史上最多タイ4度目の栄冠

スポーツ報知
史上最多タイの4度目の受賞となった役所広司(カメラ・相川 和寛)

 激しい演技で熱い映画を作り上げた男たちが栄冠に輝いた。主演男優賞は「孤狼の血」で暴力団と渡り合う刑事を演じた役所広司(62)が昨年の助演に続いて2年連続の受賞。史上最多タイとなる4個目のブロンズ像を手にした。

 飾らない言葉だった。ブロンズ像を手にした役所は喜びと感謝を口にした。「僕は褒められるのが大好きで大好物と言っても過言ではないので。いくつになっても。だから今年も報知映画賞で褒めていただきまして本当にありがとうございます」。俳優人生127度目の賞を初々しい顔で受け取った。

 原田美枝子(59)と並ぶ報知映画賞史上最多タイの4度目の栄冠。「年を取れば取るほど賞の重みを実感します。仕事を評価してもらうことは俳優としての力になっていくんだなあと思うようになりましたよね」

 直前に流れた映像の中で樹木希林さんが語った言葉をあいさつに用いた。「希林さんは『好きなことを続けていれば何か良いことがあるかもしれない』とおっしゃった。自分も好きな俳優という仕事をコツコツと、また褒めてもらえるようにしばらく頑張っていきたいと思います」。2012年に「わが母の記」で共演。敬愛する先輩の思いを継承して壇上に立った。

 俳優を続ける上で、常に心に留めていることがある。自分へのオファーは、他の役者が断った後に来た「第2希望」だと思うこと。「最初から自分に来た役だと思うのは傲慢で、巡り巡って自分に来たと思うようにしているんです。もちろん『孤狼の血』も。でも出会えた。出会えた縁なら大切にしなきゃいけませんよね」。謙虚であり続けるからこそ、次の縁が巡り来る。「いつ俳優という職業を卒業していいかなんて、まだ分からないですけど、続けていたら、またきっと良いことがあると信じています」

 表彰式が始まる前、控室で待ちながら二宮と談笑し、笑顔で「素晴らしい演技だったねえ」と伝えた。会場入り直前、二宮が身だしなみを整えていると、手元に置いていたメガネを掛けてチェックし「うん、大丈夫」とOKサインを送った。

 「俳優は実人生をいかに生きるか、ということは希林さんが教えてくれたことでもありますから」。穏やかに笑う還暦過ぎの俳優は、荒くれ者の刑事からはどこまでも遠い紳士だった。(北野 新太)

 ◆役所 広司(やくしょ・こうじ)1956年1月1日、長崎県諫早市生まれ。62歳。高校卒業後に上京し、千代田区役所に勤務。78年に仲代達矢主宰の「無名塾」入塾。96年に「Shall we ダンス?」など、97年には「うなぎ」などで報知映画賞主演男優賞を連続受賞。昨年は「三度目の殺人」と「関ヶ原」で助演男優賞に輝いた。来年はNHK大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」に出演。

 ◆孤狼の血 舞台は昭和63(1988)年、広島県呉原市。国立大卒の新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)は県警呉原東署の暴力犯捜査係に配属される。直属の上司になったのが暴力団との癒着もウワサされる型破りな敏腕刑事・大上(おおがみ)章吾(役所)だった。

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