【報知映画賞】助演女優賞・樹木希林さん、長女の内田也哉子さん ブロンズ像は「位牌のそばに」

スポーツ報知
助演女優賞を受賞した故・樹木希林さんに代わって登壇した長女の内田也哉子さん(カメラ・生澤 英里香)

 助演女優賞は9月に亡くなった樹木希林さんが3度目の栄冠。代理として長女でエッセイストの内田也哉子さん(42)が、母が愛用した着物で登壇した。

 代理出席の也哉子さんは、トランクを持って会場入り。「母の着物が入っていて」。登壇時の和装はいまも4棹(さお)残る和だんすから、希林さんが愛した大正ロマン的な味わいのものを選んだ。「華やかな場は苦手で」と、「母は褒められるのが苦手でした」などと書かれた、旅立って3か月たつ今の気持ちを読んだ。「死人に賞をあげるなんて、物好きねー。で、賞金いくら?」。受賞を聞いた希林さんの心境を代弁した口調は、母親そっくり。そのスピーチは改めて在りし姿を思い出させた。

 会場では受賞作「モリのいる場所」「万引き家族」「日日是好日」の出演シーンが紹介された。それは失った人の存在の大きさが伝わるものだった。17日には新作撮影から帰国した是枝裕和監督と希林さんのお墓へ。「お花がいっぱいあふれていて。自分の母だけど作品をご覧になった方にとっては“公人”だと思う」

 トロフィー類をそばに置かなかった希林さん。3度目の受賞。ブロンズ像の大理石を“分離”させライオン部分を自宅庭に飾った。生前「(沖縄の守り神)シーサーみたいに」と独自の活用法を明かしていた。この日のブロンズ像は「仏壇の位牌(いはい)のそばに」と也哉子さん。シーサーは左右、対で置かれる。いつか、庭に並ぶ日が来るのかもしれない。

 ◆モリのいる場所 30年間家を離れることなく、身近な生物などの絵を描き続け、97歳で亡くなった画家・熊谷守一と妻の晩年の一日を描く。沖田修一監督。

 ◆万引き家族 壊れそうな平屋に万引きなどの軽犯罪を重ねながら生活する“一家”。犯罪でしかつながれない家族の姿を通し、本当の家族とは何かを問い掛ける。是枝裕和監督。

 ◆日日是好日 生きがいを見つけることができない女子大生(黒木)が、茶道教室に通い始める中で少しずつ変化していく。

 〇…「日日是好日」で主演した黒木華(28)は助演女優賞と監督賞の花束ゲストとして登場。淡いピンクの着物に身を包み、茶道映画で初共演した希林さんに敬意を払い、「一人の人間としてそこに存在している樹木さんと密にお芝居できて、刺激を受けました。私もこういう女優、人でありたいと思いました」と感謝。大森監督については「ご飯に行く時はシャイでチャーミング」と素顔を“暴露”していた。

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