伊藤八段の「4×4」詰将棋 あなたは何分で解けますか!?

スポーツ報知
詰将棋の名手として知られる伊藤果八段

 1977年からスポーツ報知に詰将棋連載を寄稿している伊藤果八段(68)の新刊「絶品! 4×4マスの詰将棋」(マイナビ将棋文庫、1339円)は、初心者にこそチャレンジしてほしい問題集だ。タテヨコ4マスの枠内に駒を配置した作品ばかりを180問。「4×4で『解く将』が増えてくれたら」と願う伊藤八段は、本紙読者のために3~7手詰の易しくも深い問題を5つ精選。あなたは何分で解けますか?

 いざ挑戦!

 今まで人生で詰将棋なるものを一度も解いたことがないという方、5つ並んだ図面を試しに眺めていただきたい。「ん? なんか小さいぞ。解いてみよっかな」と思ったら、もはや伊藤果の世界に足を踏み入れている。

 小5の時に始めた詰将棋創作歴も半世紀を超えた伊藤は、たどり着いた究極形「4×4マス」について熱弁する。

 「もともと4×4が大好きで、いつか本にしたいという憧れがありました。自分が解く側に立った時、まず解いてみたくなる、考えてみたくなる初形が4×4です。最初の入り口に良いので、詰将棋はちょっと難しいなあ、と思っている人にこそチャレンジしてほしいです」

 全ての駒を1一~4四までの16マスの枠内に収めたシンプルな図面は、単純そうに見えて奥が深い。3手詰でも初心者はすぐには解けないだろう。

 「編集者の方から『4×4マスを中心に…』と頼まれましたけど『そんなのつまらないです。やるなら全部!』と本にしました。範囲限定の詰将棋本は史上初です。まだストックは200くらいあるので続編を考えてます」

 解く側にとって「4×4」はシンプルかつ明快な世界だが、作る側には大いなる制約になる。「5段あれば桂馬を置けたり、飛車角が大きく動けます。でも4×4では大駒と玉が接近してしまう。狭い世界に技を入れるのは大変です。小さな謎に思わぬ何かが潜むのが詰将棋ですから。幸運に巡り合わないとできないので、完成すると一人で興奮します。3×3も詰将棋の女神に好かれたら、見せ場のあるものを10題は作れると思いますが、一冊の本は作れない。4×4が最小形なんです」

 入門編とはいえ「詰将棋」の響きは一般の人には高いハードルになる。

 「気持ちの良い朝に青空を眺めるようなものだと思ってください。頭の回転をちょっとだけ良くしてフレッシュに過ごそう、というような」

 将棋ファンは多角化し「指す将(指すこと専門)」「観る将(観戦専門)」という言葉も生まれたが、詰将棋作家が願うのは「解く将」の確立だ。

 「将棋で戦うのは私も嫌いではありませんでしたけど、負けることはつらいです。詰将棋に敗北はありません。崇高なパズルを自由気ままに楽しみましょう」

 まずは1問目から。レッツ、トライ!(北野 新太)

将棋・囲碁

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