小澤征爾さん、急性気管支炎で入院 オペラ公演降板「体調を戻すようにがんばっています」

スポーツ報知
小澤家の家系図

 世界的指揮者の小澤征爾さん(83)が急性気管支炎と診断され、入院したことを21日、所属事務所が明らかにした。この日、神奈川県横須賀市の「よこすか芸術劇場」で出演予定だったオペラ公演は降板した。関係者によると2、3日の入院治療が必要という。小澤さんは「今は体調を戻すようにがんばっています」とコメント。これまでにもさまざまな病気やけがを負うも、その度に不屈の精神で打ち勝ってきただけに、今回も早い復帰が待たれる。

 「世界のオザワ」が、自らのライフワークとしている公演を降板した。所属事務所によると、小澤さんは15、17日に京都市のロームシアター京都で行われた公演で指揮をした後、体調を崩したという。その後、帰京して都内で精密検査を受けたところ急性気管支炎と診断され、そのまま入院した。このため、21日の横須賀での公演は降板。オーストリアの指揮者クリスティアン・アルミンク氏が全幕を担当した。

 公演は、小澤さんが塾長を務める「小澤征爾音楽塾」のオペラ公演。同塾は、若い音楽家の教育を目的として2000年から開始されたプロジェクトで、今回はビゼーの歌劇「カルメン」が上演されている。小澤さんは第1幕「序曲」でタクトを振っていた。

 世界の著名なオーケストラで指揮をしてきた小澤さんだが、近年は病気やけがとの闘いが続いている。06年には帯状疱疹(ほうしん)を患って通院。10年には人間ドックで食道がんが見つかったことを公表した。この時には、当時音楽監督を務めていたウィーン国立歌劇場や日本での公演を、半年にわたってすべてキャンセル。手術で食道を全摘出した。その後も体調不良などで演奏会を度々降板。昨年も8月に軽度の胸椎圧迫骨折と診断され、12月に復帰したばかりだった。

 今回の公演では、小澤さんは3月7日に京都入りして舞台稽古を開始。若い演奏者らを厳しく指導するなど力が入っていただけに、事務所のホームページに「みなさんほんとうに申し訳ありません。くやしいです。とにかく今は体調を戻すようにがんばっています」と悔しさをにじませるコメントを寄せた。

 24日には東京・台東区の東京文化会館大ホールで公演が予定されているが、小澤さんの出演は未定という。

 ◆小澤 征爾(おざわ・せいじ)1935年9月1日、旧満州生まれ。83歳。桐朋学園創設者の斎藤秀雄氏に学び、フランス留学。59年、ブザンソン国際青年指揮者コンクールで優勝。世界各地の一流交響楽団で指揮を執るなど活躍。73年から29年間、ボストン交響楽団の第13代音楽監督を務めた。98年には長野冬季五輪の音楽監督を担当。2016年、米グラミー賞の最優秀オペラ録音部門を受賞。同年、東京都の名誉都民となる。

 ◆急性気管支炎 のどから肺につながる空気の通り道のうち、気管の下端から左右の肺に通じる管である気管支が炎症を起こす病気。日本呼吸器学会のホームページによると、かぜと同様にウイルス性の微生物が原因であることが多く、ウイルスの感染により気道上皮の壊死(えし)や脱落が起こることで発病すると言われている。主な症状はせき、たんが出ることで、発熱や食欲不振、全身の倦怠(けんたい)感を伴うことも。二次性の細菌感染が起こると、肺炎に至る場合もある。

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