“雪のプリンス”永久輝せあ、新たなる船出に意気揚々!

スポーツ報知
「諦めない」をモットーに単独主演をつかんだ宝塚歌劇雪組スター・永久輝せあ

 宝塚歌劇雪組スター・永久輝(とわき)せあ主演のミュージカル・コメディー「PR×PRince」が28日、兵庫・宝塚バウホールで開幕する。4月で入団9年目に入る“雪のプリンス”は、バウ単独初主演に「夢でした。うれしいの一言。積み重ねてきた努力が土台として固まってきたのかな。今までコツコツやってきたので、大胆に自分を解放してあげたい」と新たなる船出に意気揚々だ。(筒井 政也)

 新人公演を卒業して丸1年の春に迎える大舞台。バウでは2017年2月にショーの「New Wave! ―雪―」で月城かなと(現月組)とダブルセンターを務めたが、今回は単独だ。「一人でちゃんと真ん中に立てるようにと2年間、諦めずにやってきたことが報われた」と喜ぶ一方で「必死にもがく姿が周囲に影響を与える」というテーマに稽古での境遇も重ねた。

 古き良き伝統がありながらも、財政難に悩む架空の国・ペキエノが舞台。第一王子ヴィクトル(永久輝)をはじめとする3兄弟は国を救うため、イケメンぶりを生かした観光ツアーや婚活パーティーに利用されることに。

 コスチュームも映えるコメディーで「キラキラ感はありますが、自分自身と闘って乗り越えていく成長物語という印象。現代に失われた心の豊かさも表現したい」と題名通り“PR”。平成最後のバウ作品だが「ギスギスした世の中。世界平和の橋渡しになれば…って、大きなことは言えないですけど」と、ほほ笑んだ。

 新人公演主演4作など丸8年の宝塚人生は順風満帆に見えるが、首を振る。「下級生の時は貪欲ではなかったんですよ。人前に出るのも苦手で(苦笑)。期待に応えようと必死に取り組むことしかできなかった。歌・踊り・芝居も特別、得意なわけでもなく、クニョクニョと悩んでいました」。師事する機会が多かった前トップ・早霧せいな(現女優)の退団も「ありがたい存在だったので、打撃が大きかった」と振り返る。

 それでも、新人公演を卒業したことで自立心が芽生えた。「挑戦したいと、自ら踏み出すことができた。例えばショーの一場面で『遅れないようついていこう』ではなく、自分だったら何を見せられるか。それを考えるようになりましたね」。精神面の強化もPRし、さらなる躍進を図る。

 初日の朝には第107期生の合格発表がある。「私は97期生なので、ちょうど10年。宝塚に入っていなかったら、こんなにチャキチャキしゃべって、自分の思いを伝えたりしなかったのでは。この世界で変わったなあ」と、しみじみ。人生が変わる、それが芝居の面白さだという。「役のおかげで潜在意識が開いて、新しい発見がある。それが楽しい」。休日のレッスンも芝居を選ぶことが多いとか。

 そこに宝塚の男役の伝統を加える。「衣装や音楽に助けてもらわなくても、立っているだけで場が埋まるような。少し前のスターの方々は味があって憧れます。『男役・永久輝せあ』の味が出せて、それで成り立つ。そんな方向にいければいいな」。芸名の「せあ」は、海=SEAのローマ字読み。新元号時代のトップ候補は、しっかりと海路を定めた。

 ◆永久輝 せあ(とわき・せあ)8月8日生まれ。東京都世田谷区出身。2011年4月「めぐり会いは再び」で初舞台。97期生。雪組配属。15年の「ルパン三世―王妃の首飾りを追え!」や16年「るろうに剣心」など新人公演主演4度。身長170センチ。愛称「ひとこ」。

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