映画監督・中島貞夫さん、織本さん悼む「こわもてと柔軟さ、役に深み出してくれる」

スポーツ報知
遺作となったテレビ朝日系「やすらぎの郷」で“芸能界のドン”を演じた織本順吉さん

 映画「仁義なき戦い」シリーズやNHK連続テレビ小説「わかば」などで知られる俳優の織本順吉(おりもと・じゅんきち、本名・中村正昭=なかむら・まさあき)さんが18日午後0時2分、老衰のため栃木県那須塩原市内の病院で死去した。92歳だった。20日に近親者のみで密葬を行い25日、所属事務所が発表した。名脇役として約2000作品に出演し、17年放送のテレビ朝日系「やすらぎの郷」が最後の仕事となった。

 映画「沖縄やくざ戦争」(76年、松方弘樹・千葉真一主演)など10本近く一緒に仕事をした映画監督の中島貞夫さん(84)が25日、スポーツ報知の取材に応じ、織本さんとの思い出を語った。

 「どんどん昔の仲間がいなくなってしまって寂しくなる。織本さんにはずいぶん助けられましたよ。とても感謝している。通りいっぺんでないユニークなヤクザを頼むと、必ず期待に応えてくれた」。「ヤクザ役」と一言で片づけられない変幻自在な味わいを出してくれたという。

 「独特の間の取り方も魅力でね。こわもてな面と柔軟さ。役に二重性、深みを出してくれる。脚本を書いていても『ここは織本さんがどう演じてくれるかな』と楽しくてね」と懐かしむ。ここでの“実績”が買われ、深作欣二監督作品の常連になっていった。

 一緒にゴルフをしたことがある映画関係者は「うまかったね。きっちり刻んで手堅いゴルフをする人だった」と振り返った。

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