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天然か計算か? 永遠の青年・石田純一の永遠に変わらないサービス精神

2018年1月16日17時0分  スポーツ報知
  • 文化放送の社長会見に登場した石田純一(右は斉藤一美アナ)

 ビンテージとは、ただ古いだけでなく、年月を経て、ほど良く味わいがでたものを指す。そんな言葉がピッタリの俳優を1年半ぶりに取材した。

 16日に東京・港区の文化放送で行われた上口宏社長の定例会見。昨年4月から同局の平日夕方のニュースワイド「斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI!」で火曜コメンテーターを務めている俳優・石田純一(63)がゲストとして登場した。

 1980年代のトレンディードラマ以来おなじみの柔らかい笑顔に足元をチェックすると、この日も定番の素足に革靴―。常に変わらないスタイル以上に不変なのが記者への対応だった。

 ゲストに呼ばれた理由は「コメンテーターを務めて1年の感想」というものだったが、96年の「不倫は文化」発言以来、常に芸能マスコミの関心を集め続ける男だけに、話題は自然とプライベートに。

 この日も「(私生活を)僕は言いたくないし、それを売って生活しているつもりはないけど」と前置きしたものの、妻でプロゴルファーの東尾理子(42)が第3子を妊娠。4月に第5子誕生予定のことに絡め、「子供がいる幸せは知っているので…。30代の時は忙しくて寝る時間もなくて…。申し訳ないけど(育児の手伝いが)できなかった。今は少し余裕が出てきました」と“パパの顔”を披露した。

 さらにトレンディードラマなどで数多く共演した女優・浅野ゆう子(57)の結婚についてコメントを求められると、「尊重し合うってことが一番だと思います」とエール。自身も54歳で東尾と再婚した経験から「長く生きてきたからって円熟味が増すわけではないですけど、今は忍耐力もある。肉体的な若さとか瑞々しさはないけど、僕も今、第三の人生と言われてますけど、こうやったら、うまく行くなというのを結婚生活で実践してます。子供たちにも時間をかけて、いろいろなことを教えて見守ってあげる。そういう風に変わってきてます」と、旬の話題についても“おいしい”コメントをくれた。

 「プライベートを売って生活しているつもりはない」と言いながらも飛び出すサービストークの数々。そのサービス精神の真髄と“神対応”ぶりを、まさに息がかかるほどの距離で見届けたのは、16年7月7日の夜の羽田空港だった。

 石田に都知事選出馬の可能性が急浮上。夜遅くの便で帰京するところを到着ゲートで待ち受けた。事務所サイドが会見場所を用意するなどの仕切りは全く無し。約50人の取材陣が待ち受けていたゲートとは別の出口から、ひょっこり1人で出てきた石田は、殺到した記者たちによって、たちまちもみくちゃにされた。

 ダッシュで駆け寄った私もどさくさまぎれに石田の真横に。ラグビーのモールのど真ん中にいるような状態になった。話を聞く前にこの目に飛び込んできたのが、石田の頭にガンガンとぶつかるテレビカメラの角、そして角。「うわっ、痛そう!」と思いながらも一言も聞き逃すまいとレコーダーを突き出すと、それが当人の口に触れてしまった。

 「(立候補まで)時間ないと思う。いっぱい話をしなきゃいけないと思います」「(スポンサーとの交渉など)クリアできてないので。相談ですね」。あらゆる質問に敬語で誠実に答え続ける石田。しかし、その頭や顔には相変わらずテレビカメラが接触し続け、記者の差し出すレコーダーが押しつけられ続けた。

 何があっても笑顔。約20分間に渡り、ていねいに答え続けた石田は、最後に乱れ切った髪でエレベーターに乗り込みながら「皆さん、お疲れ様でした」。さわやかな笑顔を残して去っていったのだった。

 あれから1年半。石田はこの日も全く変わっていなかった。都知事選の件について、自ら「都知事選の騒動で、テレビやネットでたたかれたわけです。本当に『お前、何様だよ!?』って。実際、共演者にも言われました」と振り返り、今後の政治家挑戦の可能性についても「その気も予定もありません」と言いつつも「僕は国民の皆さんの健康や幸せのために役に立てればいいと思っているので、そういうチャンスがいただけるなら」と、聞きようによっては、今後に含みを持たせるようなリップサービスも飛び出した。

 この「何でもしゃべっちゃう」軽さを脇が甘いと見るのか。いや、違うと思う。79年、NHKドラマ「あめりか物語」で俳優デビューしてから39年。97年にはテレビ朝日系「スーパーJチャンネル」でメインキャスターを務めた経験を持つ知性派俳優が、そんなに甘いわけがない。

 すべてが長い芸能生活から生み出された計算し尽くされた対応―。どんなに女性関係が緩くても都知事選出馬騒動でスポンサー筋に迷惑をかけても、石田を悪く言う人は少ない。取材するたびにビンテージのウイスキーのように味わいが増していく石田の受け答えに接するたびに、その理由が分かる気がするのだ。(記者コラム・中村 健吾)

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