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「すべて承知の上で炎上させている部分もあります」小倉智昭氏が明かしたネット時代の有名人の覚悟

2018年3月22日18時0分  スポーツ報知
  • 自身の発言について「すべて承知の上で炎上させている部分もあります」と明かした小倉智昭氏(左は山崎夕貴アナ、右は伊藤利尋アナ)

 アナウンサーデビューが1970年。48年間、芸能界の一線で活躍してきた大物キャスターの手の平の上で躍らされた気がした時間だった。

 4月から伊藤利尋(45)、山崎夕貴(30)両アナウンサーを加え、リニューアルされるフジテレビ系朝の情報番組「とくダネ!」(月~金曜・前8時)の取材会が22日、東京・台場の同局で行われた。「出演者の方、入りま~す」という裏方の声でスタジオに現れた瞬間から2人のアナウンサーに挟まれて堂々の存在感を見せつけたのが、99年4月の番組開始以来、メインキャスターを務める小倉智昭氏(70)だった。

 同番組は2年前の16年7月に放送回数4452回を記録。同一司会者による全国ネット情報番組の最多放送回数記録を樹立した超ベテランキャスターは「4月で20年目に入ります。4月になって、いろいろな(リニューアルの)声が聞こえてくるかなあと思っていた時に、大変興味のある2人との(共演の)話が来た。暴走老人を止められるのは、この2人しかいないんで。今まで以上に突っ走ろうかなと思ってます」と笑顔で話した。

 その上で「僕はフジテレビ(の入社試験)は7次試験で最後の6人まで残って落ちている。俺で決まりと思ったのに落とされた人としては、フジテレビのアナウンサー試験に受かった人にはリスペクトがあります」。横に従えた局アナ2人を見ながら自虐的なギャグまで飛ばした。

 4月に過去に例を見ない大規模改編に乗り出したフジテレビが狙うのは視聴率のテコ入れ。「朝の情報番組戦争」と言われる激戦区の午前8時台は現在、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が民放1位。一時低迷していた日本テレビ系「スッキリ」も昨年10月から水卜麻美アナ(30)が加わり、復調傾向にある。

 16年まで民放1位を続けた「とくダネ!」も現在は「スッキリ」と2、3位を争う毎日。小倉氏は朝のワイドショー戦争について「羽鳥君(の番組)が良くて。最近、日テレとはうちが上になったりのいい勝負。ご存知のように母屋(フジテレビ)自体が不振な状態なんで、それもあると思いますし、私が19年もやっていると飽きられるということも当然あるでしょう。テレビ朝日の傾向を見ると、年配の方がかなりあちらに移ってしまった」と視聴動向を冷静に分析した。

 その上で「それは(熟年の視聴者が)『同世代の司会者はもういいぞ』と思っていることもあると思ってるんです、正直。そのへんをこの2人がこれからカバーしてくれるんで、僕は余生というか」と、70歳という自身の年齢にも触れた。

 思わず調子に乗って「一歩、後ろに引かれる感じですか?」と聞いてしまった。しかし、その瞬間、「僕の計算では小倉さんとは25年、年が離れていて。親父でもおかしくない年齢差なんですが…」と話していた伊藤アナが「そんなことないですよ!」と、すかさずフォロー。小倉氏自身も「そう言いながら、しゃしゃり出て、また叩かれるという…」と笑顔で話し、取材陣を爆笑させた。

 20年間に渡って、大型情報番組を1人で「回して」きた大物司会者の凄みを感じたのは、こう聞いた時だった。

 「ネット全盛の今、小倉さんが『とくダネ!』の生放送中に話したことが、即座にネットニュースとなる。自分自身がニュースの発信者にもなっている現状をどう思いますか?」

 ニヤリと笑った小倉氏は「(ネットの)反応が速いのは知ってますし、番組が終わって、スタッフと『きっと火ついてるよね』とか『炎上してるよね』というと、『炎上してま~す』って」と舞台裏を明かした上で「これ言うと、たぶん炎上するなって承知の上で炎上させている部分もありますし、なんで、これで、こんな騒ぎになっちゃったんだろう、ちゃんと最初から最後まで聞いてくれたら、こんなことにならないのになと思うこともあります。ただ、良きにつけ悪しきにつけ、そうやって話題になるのはいいことだと思ってます。これからも、どんどん書いていただくなり、叩いていただくなり」。そう一気に話すと「でも、これからは伊藤や山崎の方を叩いてもらって…」と両隣の2人を見ながら笑った。

 どうだろう。「承知の上で炎上」「良きにつけ悪しきにつけ話題になることはいいこと」という言葉からにじみ出る情報の送り手としての計算と余裕。テレビの表から裏から全て知り尽くした超ベテランの狙いのもと、上手に踊らされているメディアの代表が私なのかも知れない。

 写真撮影の後、黒く日焼けした顔に笑顔を浮かべて去って行った小倉氏を見送った後、そう思った。(記者コラム・中村 健吾)

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