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三遊亭好楽、笑顔で騒動終結宣言 好の助との師弟愛の裏側にあった“幻の襲名プラン”

2018年4月27日11時0分  スポーツ報知
  • 真打ち昇進会見を行った三遊亭好の助(中央)と父親の「ナポレオンズ」ボナ植木(左)、師匠の三遊亭好楽(右)。好の助が手にした扇子には林家九蔵の文字が… ボナ植木は九蔵にちなみ指9本!?
  • お蔵入りとなった「3代目林家九蔵」の後ろ幕とのぼりを前に渋い表情を浮かべる三遊亭好の助(左)と師匠の好楽

 落語家・三遊亭好の助(35)の真打ち昇進披露パーティーが24日、東京・水天宮のロイヤルパークホテルで行われた。当初は真打ち昇進を機に3代目・林家九蔵を襲名する予定だったが、直前で取りやめたことで話題を呼んでいた。

 林家九蔵の名前は、好の助の師匠、三遊亭好楽(71)が8代目・林家正蔵に入門し、17年間名乗った名前。愛着のある名前を弟子に贈ることを決めていたが、9代目・林家正蔵サイドが“物言い”を付け、好楽は「もめ事がある名前は良くない」と襲名を断念した。ちなみに8代目・正蔵と9代目・正蔵は師弟関係はなく違う一門でもある。

 騒動となったことで、より一層注目を集めたパーティーだったが、さすがは芸人の集まり。騒動をきれいにネタにしてみせた。入り口には、襲名断念で“お蔵入り”となった「3代目・林家九蔵」と染め抜かれた後ろ幕やのぼりが飾られ、今後見ることができない“お宝”に招待客の黒山の人だかりが出来た。パーティーの冒頭で司会の日テレ・久野静香アナウンサーが「好の助改め3代目・林家九蔵改め三遊亭好の助の真打ち昇進披露パーティーでございます」と話すと、約500人の出席者が沸きに沸いた。

 急きょ駆けつけた笑福亭鶴瓶(66)は「九蔵、九蔵、九蔵はどこや~」と名前を連呼すると、親交の深い好楽に向かって「この人は思いついたら何でもすぐやってしまうんです。だけど嫌いになれないんですわ」。軽快なトークを繰り広げると「三平もかわいそう」と、近くにいた正蔵の弟・林家三平(47)をネタに。いじられた“当事者”たちも黙っていない。お蔵入りとなった扇子、手ぬぐいなどの損害について鶴瓶から問われた好の助は「根岸(の林家正蔵家)に請求します」。すると三平は間髪入れずに「聞いてないよ」と返すなど、落語家らしいやりとりで笑いを取った。

 パーティーより前の22日に放送された日テレ系「笑点」の真打ち昇進披露口上でも、軽妙なやりとりがあった。好楽が好の助に向かって「変な名前を継ぐなよ。好の助はいい名前なんだから」と語りかけると、進行役の春風亭昇太(58)は「いったい何があったんでしょう」と混ぜっ返す。好の助は「どうも三遊亭好の助です。私が三遊亭好の助です。誰がなんと言おうが三遊亭好の助です。三遊亭好の助、どうぞよろしくお願いします」と名前を連呼。昇太は「きっと何かあったのでしょう」と締めくくり、林家九蔵という名前を一切封印し、アドリブでさらりと騒動をネタにしていた。

 好の助はパーティーの最後に「ここに来るまで色んなことがありましたが、今までのことは全部、水に流します。今日まではわだかまりを持ったまま過ごします。あと3時間ですが…」とあいさつ。好楽も宴(うたげ)を終えると「もう何とも思っていないよ。三平君もかわいがっているし、正蔵君からもご祝儀を頂いているから」とノーサイド、終結宣言も飛び出した。

 これから、襲名騒動について当人たちは語ることはなくなると思うので、野暮(やぼ)であることを承知で好楽、好の助の師弟の思いを記しておきたい。パーティーの前に行われた会見で好楽は「好の助が『九蔵をください』と言ったわけではない。あまりにも好きだった名前なので、私の勇み足です」と弟子をかばえば、好の助も「師匠が『九蔵』の名前を好きなのは分かっていたので(騒動になったときは)この野郎と思ったこともありましたよ。今後、九蔵を誰も継がなくなるんじゃないかと思うと悔しいです」と師匠の無念の思いを代弁していた。

 襲名が取りやめになる前に、好の助が話していたことを思い出した。「私が前座の時に(好楽の)おかみさんが『九蔵の名前、誰かにあげればいいのに』と言ったら、師匠が『俺の大事な名前だからあげられない』って話していて…。それを聞いていたので、(襲名は)本当にうれしいです」。大事な名前を継げることを意気に感じていた。「師匠の家で、九蔵の後ろ幕を見つけたんです。これを披露目で使いたいと思って…」。師匠・好楽が九蔵の名前で真打ち昇進した際に使用した思い出の後ろ幕を前に、師弟で口上に並ぶことを楽しみにしていた。

 好楽にもプランがあった。「まだ誰にも言っていないんだけど、10年後を楽しみにしていてくださいよ。80歳過ぎたら隠居名で私が九蔵を継ぐの。そして好楽(の名前)をこの子(好の助)に譲るの。面白いでしょう」。お互いに名前を交換するダブル襲名の計画を温めていた。

 今回の襲名取りやめで2人のプランはともに幻に終わったが、この話を聞いた時に、師匠と弟子の絆の強さ、愛情の深さを感じて心がホッコリしたことを覚えている。師匠・好楽、弟子・好の助は様々な思いを胸に秘めて、両国寄席で5月1日初日の真打ち昇進披露興行に臨む。(コンテンツ編集部・高柳 義人)

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