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収録中に若手アナを愛情たっぷり教育…マツコ「タレント力NO1」の秘密

2018年5月21日11時0分  スポーツ報知
  • 現在、週に8本のテレビ・レギュラーを持つ超売れっ子・マツコ・デラックス

 マツコ・デラックス(45)がテレビ東京の特別番組5つに立て続けに出演する「無理矢理、マツコ。テレ東に無理矢理やらされちゃったのよ~」プロジェクトの第1弾、クイズ形式の番組「マツコがマネーをあげたいクイズ」が22日深夜0時12分から放送される。

 この番組の収録を都内のスタジオで取材したのは今月上旬のことだった。マツコは今回が2011年1月以来、7年ぶりのテレ東の番組出演となった。現在、月曜の「月曜から夜ふかし」から土曜日の「マツコ会議」まで民放キー局の番組プラスTOKYO MXテレビ「5時に夢中!」の計8番組にレギュラー出演中と見ない曜日がない“日替わりマツコ”は、これで民放キー局を完全制覇したことになる。

 CM出演も花王やP&Gなど8本。このほど発表された雑誌「日経エンターテインメント」が選ぶ「タレント・パワースコア」(株式会社アーキテクトが3か月に1回実施のタレントの認知度と関心度の調査を元に2つのデータを掛け合わせ、ランキング化したもの)でも3年連続1位に輝いた。2位が綾瀬はるか(33)、3位は新垣結衣(29)というところからも、その人気の高さが分かる。

 そんな超売れっ子の人気の秘密を深堀りする―。それが今回の取材の狙いだった。

 13日に、さっそく「民放キー局完全制覇の“日替わりマツコ”誰もが一緒に仕事をしたがる理由とは?」と題した記事を「スポーツ報知」のwebにアップした。すると、さすがは国民的人気者。ヤフー・トピックスに取り上げられたこともあって、その記事には、あっという間に1200を超えるコメントが殺到。その9割がマツコを断然、支持する言葉だった。

 「どんなに売れても謙虚さを忘れない。媚びない、ブレない意見だから、聞いていて気持ちいい」

 「毒を吐きながらも、そこには愛情がある」

 「一つ一つの言葉に引き寄せられるインパクトがある」

 「辛口コメントでも常に相手を観察して気を遣って愛情もある」

 マツコが各番組に引っ張りだこの理由を物語る一般視聴者の意見の数々。中でも、じっくり読んでしまったのが、「素人さんを相手にしても、その人一人一人のバックグラウンドをちゃんと理解していて、毒もありながら、ちょっとクスッとなり、その上、相手を傷つけないツッコミ。なかなかできる人はいないです」という意見だった。

 マツコが、一記者である私をいかに丁寧に「イジり」、そのバックボーンを考えた上で「おいしく」してくれたか、最初に書いた記事のやり取り部分を再録する。

 週8本のレギュラー番組を持つマツコだからこそ、「ハードスケジュールの中、体調面は大丈夫なのか?」と質問しようとした。

 しかし、「報知の中村です」と名乗ったとたん、「報知新聞はダメです~」とピシャリ。ニヤリと笑った後、「じゃあ、いいわよ。聞いても」と言われたので真剣に質問すると、「そこで、今年のジャイアンツはどうですか?って聞くのよ。報知なのに、なんで分からないのよ」とイジった後、「そういう仕事じゃないよね、ごめんね」と一言。

 やっと、「私、テレビ以外の仕事してないから。結構、そんなにハードじゃないよ。ほら、グラビアの女の事務所とかだとイベントとかいっぱいやらなきゃいけないけど、ウチは地味~な会社なんで。テレビの仕事だけやってるだけだから。そんなにハードじゃないのよ」。聞きたかったことにきちんと答えてくれた。

 さらに図に乗った私が「今日の収録を見ると、ものすごいテンションで現場を盛り上げているから疲れないのかなと思って」と聞くと、「バカにしてんの?」と周囲を爆笑させた後、「やっぱり、報知って、こういうやり口なの? 私が原(辰徳)監督の親戚だったら、こんな扱いじゃないのか?」と一同爆笑のコメント。こちらの社名をイジって場を盛り上げてくれた。

 再録は以上だが、どうだろう。コメントを寄せてくれた読者が書いてくれた「その人一人一人のバックグラウンドをちゃんと理解していて、毒もありながら、ちょっとクスッとなり、その上、相手を傷つけないツッコミ」が、私という1人の記者相手でも全開になっていないか。

 巨人報道を紙面、web記事の中核としている「スポーツ報知」の特性をしっかり把握した上で、その場の全員に質問者としての私の立ち位置をアピール。その上で、一連のやり取りを笑いに変える。これぞ、「マツコによる、マツコだけの芸」だと思う。

 さらに舞台裏を明かそう。この日3時間に及んだ収録でも、マツコのタレントとしての“人イジリ”パワーは全開だった。

 収録された「マツコがマネーをあげたいクイズ」の進行役は入社3年目の若手・原田修佑アナウンサー(24)だった。失礼な言い方かも知れないが、マツコと絡むには、あまりに経験不足。そのツッコミに何度も口ごもってしまうところが初々しかった反面、時折、返答に困って素の表情に戻ってしまうなど、私から見ても「まだまだだな~」という感じの若手アナだった。

 しかし、マツコは凄かった。セットに登場し、小柄で童顔の原田アナと対面したとたん、「アナウンサーっぽくないって(スタッフと)話してたのよ。助手っぽいって」と、その特徴を的確につかんだコメント。「おまえ、遠慮しなくていいからな。誰もおまえのこと知らないんだから」とアドバイスした。

 長時間に渡った収録中も原田アナに「もっと我を出せ! 我を見せてくれ」「ヘタクソー~! おまえ、アナウンサー向いてない」と絶叫。でも、その言葉の裏に同アナの美点を引き出し、成長させようという“愛情”が見て取れた。

 収録の最後には、あれだけオドオドしていた同アナが逆に空気を読まない進行で笑いをとる場面も―。マツコの“教育効果”は確実に実を結んでいた。

 会見後のフォトセッションでもマツコは原田アナを指さして「こいつも撮ってやってよ。頑張ったんだから」と、カメラマンたちにアピール。「報知ネタ」でツッコんだ私にも「ありがとう、ありがとう」と言って、午後9時半過ぎ、さらに別の局のもう一つの番組への収録に向かった。

 私の質問に「結構、そんなにハードじゃないよ」と答えたマツコだが、この日は本来、午後8時までに収録を終え、移動しなければいけなかったところを、マツコが納得いくまでカメラを回したため、1時間半押したことを後から聞いた。

 マツコの魅力の一端だけでも伝えたくて長々と書いてみたが伝わっただろうか。

 そう、あなたが今、毎日のように画面で目にしている“テレビ界最大のモンスター”は180センチ、140キロの身体で、こんな風に日々、突っ走っているのだ。テレビという世界の中心で―。命がけで。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆マツコ・デラックスの現在のレギュラー番組
 ▽日本テレビ
 「月曜から夜ふかし」(月曜・後11時59分)
 「マツコ会議」(土曜・午後11時)
 ▽テレビ朝日
 「マツコ有吉 かりそめ天国」(水曜・後11時15分)
 「夜の巷を徘徊する」(木曜・深夜0時15分)
 ▽TBS
 「マツコの知らない世界」(火曜・後9時)
 ▽フジテレビ
 「ホンマでっか!?TV」(水曜・後9時)=パネラー
 「アウト×デラックス」(木曜・後11時)
 ▽東京MXテレビ
 「5時に夢中!」(月曜・後5時)=コメンテーター

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