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初めて見た、堂本光一の経験のない心境…ミュージカル界のプリンスと迎えるキャリア最大の挑戦

2018年6月1日22時57分  スポーツ報知

 テーブルを挟んで向き合ったKinKi Kidsの堂本光一は、ずっとソワソワ落ち着かない様子でインタビューに答えた。新作ミュージカル「ナイツ・テイル―騎士物語―」(7月27日開幕、東京・帝国劇場)の製作発表会見を終えた後のことだ。見慣れない姿に、改めて心境を聞いた。

 「色んな矛盾がある。うれしさと、大変だぞという今まで感じたことがない、今までの何にも比べられない気持ちです」

 これまで何度も取材機会はあったが、いつも何を聞いても、一糸乱れぬ立ち居振る舞いを見せてきた。経験のない心境というだけに、初めて見る表情に驚いた。

 新作ミュージカルでは、ミュージカル界のプリンス・井上芳雄と初共演する。演出はロイヤル・シェークスピア・カンパニーの名誉アソシエート・ディレクターで「レ・ミゼラブル」などで知られるジョン・ケアード氏。ミュージカル界の超一流ばかりが勢ぞろいする新作で座長を務める。光一は、ジョンを横目に「本当にやるのかと自分でも信じられない」と続けた。

 光一は、ライフワークとする「Endless SHOCK」を2000年の初演から18年かけて通算1630公演を積み重ねてきた。トップアイドルとしても、この上ない経験値を持っている。だが、先月下旬から始まった稽古でも、様子が違うようだ。1時間の休憩中に光一は1人、車にこもって“こそ練”に取り組んでいるという。ずっと光一の姿に触れてきた関係者も「あんな姿は見たことない」と驚くほどだ。

 自身で演出も手がける「―SHOCK」以外の作品への出演は、約15年ほど前から思い描いていた念願だった。新作では演者に徹する。「自分が全く知らない扉みたいなものを開けてもらえることがあると思う」。長年の強い思いもあり、光一自身、想像した以上に心揺さぶられているようだ。

 「―SHOCK」の初演時に帝劇最年少座長としてステージに立った当時のことを「自分のフィールドではなかったから、色んな“当たり”はありました。演劇ファンから厳しい意見も頂いた。でも、自分に出来るのは何くそ精神でした」と振り返った。今回、対峙するのは、その“フィールド”であるミュージカルを生業に、第一線で活躍してきた井上だ。

 井上は1学年下ながら、同じ1979年生まれで帝劇デビューも同じ2000年。3年ほど前、今作の製作を手掛ける東宝が間を取り持つ形で初めて食事を共にした。最初は遠慮がちだった2人だが、すぐに意気投合。その後もプライベートで親交を続け、商業演劇の未来を語り合ってきた。井上にとっても同様ではあるが、羨み、尊敬してきた相手と、やっと実現した初共演。必要以上に力が入るのも無理はない。

 来年元旦には不惑を迎える。「30代最後に、こういう気持ちで新しい仕事に臨めるのは本当に良かった」。光一にとってキャリア最大とも言える今回の挑戦。2か月後の開幕は、どんな表情を見せてくれるのだろうか。(記者コラム)

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