【報知映画賞】3度目の栄冠 役所広司、初の助演男優賞に「もうないだろうと思っていた」

2017年11月29日7時5分  スポーツ報知
  • 受賞に「感謝」。カメラマンの注文に応じ、軽くガッツポーズして見せた役所広司(カメラ・矢口 亨)

 映画賞レースのトップを飾る「第42回報知映画賞」の各賞が28日、発表された。助演男優賞は、「三度目の殺人」「関ヶ原」で怪演を見せ、3度目の受賞となる役所広司(61)。

 「いやぁ、もう、報知映画賞はずいぶん昔に頂いたっきりで。もうないだろうと思っていたのでね。うれしかったですよ」。20年ぶりの受賞の吉報は、出演者も見る者も涙に巻き込んで話題沸騰中のTBS系主演ドラマ「陸王」(日曜・後9時)の収録の合間に聞いたという。

 96年「Shall we ダンス?」、97年「失楽園」「うなぎ」などで2年連続の主演男優賞を獲得して以来、3度目。「関ヶ原」では原田組の常連として、徳川家康を託された。内外面、一挙一動、細部に至るまで役を追求した。「あの監督だから振ってくれた役。がんばろう、と思ってね。肥満体が変装とばれなきゃいいな、と心配したり。おもしろかったなぁ」

 「三度目の殺人」の是枝監督とは満を持しての初タッグ。しかも同氏のオリジナル脚本。演じた死刑囚が抱える心の闇と奥深くにある優しさ。福山雅治演じる担当弁護士までも混乱させる虚と実。「人間って、一人残されるとどうなるか分からない。本当に。こんな人間が、ひょっとしたらいるかも、と思うだけでもこわいというかね」

 映画でも連ドラでも「時の人」。放送前は「ドラマやってなかったから、僕のことダイワハウスのおじさんとかCMの人だと思ってる人も多くてね」。約20年間、それだけスクリーンに心血注いできたことを意味する。「前に賞をいっぱい頂いたとき、『もっと映画をがんばれよ』と言われているのだと、戒めに思いましたし」

 普段の受け答えは穏やかでスマート。この人の一体どこに、変幻自在のキャラクターが潜んでいるのだろう。「演じるって何でしょうね。撮影の現場にいる全員が瞬間、瞬間に懸ける中でこそ生まれるものでね」

 来年の元日で62歳。「僕なんてガキのまま年取ったようなもの。でも年を重ねたからできる役もある。役者って、この衰えを楽しめ、武器になる部分もありますからね」そう言ったとき、目の奥がキラッと光って見えた。映画メインで生きるもうひとつの理由が「50年、100年後に残る作品に出たい」という強い欲求に駆り立てられるから。「そのために一瞬、一瞬を大事にしなきゃね」(内野 小百美)

 ◆役所 広司(やくしょ・こうじ)1956年1月1日、長崎県生まれ。61歳。役所勤めを経て、仲代達矢主宰の「無名塾」に入塾。映画中心の活動が認められ12年紫綬褒章。映画主演作「孤狼の血」(柚月裕子作、白石和彌監督)が来年5月公開。息子の橋本一郎も俳優。

 ◆最多受賞 役所の3度の受賞は、柄本明(主演、助演2回)、三浦友和(主演2回、助演)と並ぶ最多。女優では原田美枝子(新人、助演、主演2回)の計4回が最も多く、松たか子(主演2回、助演)、宮沢りえ(主演3回)が続く。

 ◆「三度目の殺人」 是枝裕和監督の法廷サスペンス。殺人の前科をもつ三隅(役所広司)が解雇された工場の社長の殺害容疑で起訴される。死刑が確実な三隅を担当することになった弁護士の重盛(福山雅治)はなんとか無期懲役にしようと事件を洗い直すが…。

 ◆「関ヶ原」 司馬遼太郎の小説を原田眞人監督が映画化。1600年、豊臣秀吉亡き後の天下をめぐり、徳川家康を総大将とする東軍、石田三成(岡田准一)率いる西軍が激突した関ヶ原の戦いを描く。

孤狼の血特集
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