•  若手の落語家、講談師11名からなるユニット「成金」の正体に迫る連載。読み応えたっぷりのインタビュー記事を随時更新していきます。ご期待ください。

井上咲楽が浅草演芸ホールに行ってみた 寄席の楽しみ、味わい方を成金メンバーに聞く(1)

2019年1月11日16時0分  スポーツ報知
  • 浅草演芸ホールを訪れた井上咲楽(カメラ・越川 亘)
  • 寄席を楽しんだ井上咲楽

 タレント・井上咲楽(19)が浅草演芸ホールを訪れた。最近は落語に興味を持つ若い人が増えているという。都内では浅草の他に上野・鈴本演芸場、新宿末広亭、池袋演芸場と都内で4つの寄席で一年中、落語を聴くことができる。高校を卒業したばかりの井上が落語を聴きに“突撃潜入”した。

■看板猫がお出迎え

 昨年12月、井上が到着したのは午後2時、すでに昼の部は始まっている。1匹の猫に目が留まった。切符売り場の奥で気持ちよさそうに昼寝をしている。名前はジロリ。演芸ホールがネズミ対策のために飼い始め、2代目。夜はパトロールする一方、昼間は“看板猫”としてお客さん、出演者を癒やしている。

 井上はチケットを購入して、“もぎり”をしてもらいパンフレットを受け取り入場。やや古い赤い扉を開けると、天井にある赤と白の提灯(ちょうちん)が目に飛び込んできた。

 「ちょうちんがあって、ちょっと古い感じのレトロな、タイムスリップしてきたような、空間にいることがすごく楽しいと思いますね」すでに8割程度が埋まっている。空いている席を見つけてチョコンと座った。

 「私、おばあちゃん子なんですけど。おばあちゃんが元々東京に住んでいて、その時に落語がすごい面白かったって言っていて、私もじゃあ、見に行ってみようかなと思って…」

■日本の文化を味わう

 浅草駅から雷門を見て、浅草六区通りへ。観光客でにぎわい、人力車も行き交う光景がそこにあった。「浅草駅からここまで、ずっと日本の文化の象徴みたいな所なので雰囲気を味わいながら来ました」

 各出演者の持ち時間は15分から20分程度。次々と入れ替わり登場する。お客さんの笑い声につられるように井上も笑った。笑顔になった。「なんか、お客さんと一緒に、みんなが笑っていると、自分も面白いなと一緒にノリノリで笑っちゃいますね。この空気感がいいですね。動画も見たりするんですけれど、その時より、お客さんが一緒にいる方が楽しいですね」。そして出演者が代わるメリットも感じた。「私も今っぽいのかもしれないですけど、ずっと長い時間、同じモノを見てられないんですよね。家で映画1本見られなくて途中でスマホをいじっちゃう。落語も1時間ずっとじゃないから飽きずに見られるのかもしれないです」

 しばらくすると仲入り(休憩)となり再び幕が開くと、イケメン落語家・春風亭昇々(34)が登場した。結婚式の司会に行った実体験をマクラにふって間抜けな泥棒のネタ「鈴が森」を口演した。昇々が高座を降りると、井上はいったん客席を離れて、特別に楽屋へ。出番を終えたばかりの昇々、柳亭小痴楽(30)、春風亭昇也(36)が迎えてくれた。

■成金メンバーに聞く

 3人は落語芸術協会所属の二ツ目11人で結成したユニット「成金」メンバーで、若いファンに絶大の人気を誇っている。

 昇也「今日はどうでしたか?」

 井上「古い感じのレトロな感じが、なんかタイムスリップしてきた気分ですね。昇々さんの噺も楽しめました」

 小痴楽「昇々さんので、楽しめたんですか?」

 井上「昇々さんのは結婚式の場面は日常に良くあることだったりしたのでスッと入ってきて、なんか面白かったです」

 昇々「ありがとうございます。うれしい」

 若い世代同士で、すぐにうち解けると、井上が質問した。

 井上「みなさん、落語はどうやって覚えるんですか? 私はバラエティーしかやっていないんですけど、バラエティーでもセリフを覚えるのに頭がいっぱいいっぱいになっちゃうんです。あんな長い噺自分は出来ない、難しいなと思って」

■稽古の仕方は…

 昇々「人によって覚え方は違うと思うんだけど…」

 井上「紙に書いたりするんですか?」

 昇々「そうですね、師匠に、誰でもいいんですけど、先輩に教えてもらって、ICレコーダーとかで録るんですよね。録音して」

 井上「へえー!」

 昇々「昔は三遍稽古(さんべんげいこ)と言って3回で覚える。1回やってもらって、何も録らずに、そのまま覚えて、師匠の前でやって、ここ違うよとか教えてもらって、3回繰り返して覚えていくっていう」

 井上「3回でですか?」

 昇々「昔はですね。だいぶ、昔の話ですけど」

 昇也「毎日、その師匠がネタを寄席でやっているので、ある程度頭にいれてから稽古をお願いしに行くんですよ」

 井上「お客さんとして見に行くんですか?」

 昇也「いや、僕たちは楽屋にいるんで。噺家は前座修業の時に楽屋でずっと先輩の高座を聞いて、ある程度覚えてから、『稽古お願いします』って。8割方入っている状態で、そして3回で完成させる」

 井上「えぇー! それでも覚えていなかったらどうなっちゃうんですか?怒られちゃうんですか?」

 昇也「それはもう大しくじり…」

 小痴楽「今でも録音しちゃダメだっていう人はいますね。よその弟子にはしないけれど、自分の弟子には三遍稽古でという。三遍稽古と言っても、昔の人も何回もやってくれるんですよ。いつも朝、師匠の家に行って掃除している。師匠が起きてきて、仕事まで時間があると、『ちょっとやるか』って言って、いきなり最後までやるんじゃなくて、(噺には)仕込みがあって、オチがある。二つに分けるとしたら前半だけやってくれる。何日間かやってくれて『そろそろ覚えたろ、やってみろ』って、そこで出来たら、『後半行くか?』って言って、教えてくれたりとか…」

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