白血病と闘うノブ・ハヤシ、デビュー20周年記念試合でベネルクスヘビー級王者にTKO負け「人生はリアルですから」

2018年3月1日20時39分  スポーツ報知
  • 敗れたノブハヤシ

 ◆「CHAKURIKI3」(1日、後楽園ホール=観衆800)

 K―1でも活躍したキックボクサーのノブ・ハヤシ(39)がデビュー20周年記念大会のメインイベントでベネルクスヘビー級王者のナジーム・マリク(37)=ルクセンブルグ=に3回3分00秒、TKOで敗れた。ノブの戦績は45戦18勝(7KO)24敗3分。

 ノブが壮絶に散った。最終の3回だ。残り10秒を告げる拍子木が鳴ったと同時にマリクのラッシュを浴びた。ロープを背にした時に強烈なワンツーを顔面に突き刺され、棒立ちになった瞬間、レフェリーが試合を止めた。試合時間は3分ジャスト。「今日は最後まで立っときたかったですね」。両目に涙をためて悔しさをかみ殺した。

 キックの試合は去年6月以来。約9か月ぶりの試合も1回は左のインローキックが入り、身長195センチ、体重95キロと大柄なマリクの出足を止めた。アクシンデントは2回に起きた。「ローキックを蹴った時に外れたような感じがした」と左足の第3指を負傷した。軸足がふらつき得意の右の蹴りが鈍る。逆に敵の左フックを食らいダウンを喫した。ダメージが抜けないノブは、右ストレートを浴び、2度目のダウンを奪われる。何とか立ち上がったが左足の負傷が全身をむしばんだ。

 最終の3回が始まった時に異変を察したレフェリーが試合を止め、ドクターチェックを行った。骨折の疑いもあったが、試合は続行。倒すしか勝てない展開に怒濤のラッシュを見せたが、最後の最後に力が尽きた。控室では「悔しいですね」と声を震わせた。デビュー20年の記念試合での完敗。「勝ってと思いますけど、やっぱりリアルですから。人生はリアルですから」と言葉を絞り出した。

 K―1戦士を目指し、高校卒業後の1998年、ふるさとの徳島を離れ、単身でオランダに渡りドージョーチャクリキに入門した。すぐにデビュー戦のリングに上がり、1回KO勝利。そして、翌99年8月に逆輸入戦士としてK―1ジャパングランプリに参戦。怒濤の猛ラッシュで準優勝に輝きノブ旋風を巻き起こした。 2000年7月7日には同年8月24日に急逝したアンディ・フグ選手の最後の対戦相手となり、04年に再びK―1ジャパンGPで準優勝を飾るなど栄光に彩られた格闘技人生だった。ところが、09年に急性骨髄性白血病を発症。6年間に渡り闘病生活を送った。病は回復したが、今も通院は欠かさず日々、免疫抑制剤を服用している。波乱万丈の20年。万感の思いを込めた記念試合へ「20周年記念ということもあるし、骨髄バンクチャリティということもあるので今、闘病で頑張っている方にも励みになる試合にしたい」と意気込んでいた。

 文字通り「リアル」な生き様そのままを記念のリングに描いたノブ。この日の会場にはK―1時代に戦った天田ヒロミ(44)も応援に駆けつけた。20年を振り返り「ようやってますよね。まだまだ、こんなんで辞められませんよ」とほんの少し笑顔を見せた。今の支えは「骨髄バンクチャリティー」を通じ同じ闘病生活を送っている人たちに少しでも勇気を届けることという。「悔しいです。だからこそ、頑張らないといけない」。ノブハヤシしかできない戦いへ明日からまた走り始める。

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