蝶野正洋「マサさんは、ビジネスマンとしてもの凄い綿密な方でした」…マサ斎藤さん告別式

2018年7月23日 10時31分スポーツ報知

　今月１４日にパーキンソン病のため７５歳で亡くなったプロレスラー、マサ斎藤（本名・斎藤昌典）さんの告別式が２２日、東京都港区の梅窓院でしめやかに営まれた。

　告別式には、坂口征二氏（７６）、長州力（６６）、キラーカン氏（７１）、北沢幹之氏（７６）、前田日明氏（５９）、蝶野正洋（５４）、佐々木健介（５１）と北斗晶（５１）夫妻、小島聡（４７）、西村修氏（４６）らが参列した。司会をフリーアナウンサーの徳光和夫さん（７７）が務めた。

　蝶野が、マサさんとの思い出と人柄を偲んだ。

　「一番はやっぱりＷＣＷですね。マサさんが現役でバリバリのころはまだ若手で雲の上の人でしたから。ちょうど新日本がＷＣＷと提携まで持って行くまでの流れとか、ドームツアーとか始まった時ぐらいからマサさんと一緒に仕事させてもらって、Ｇ１の２回目の大会ぐらいからＮＷＡのベルトの復興だとか、あれもマサさんがずっと１年以上かけてプロジェクトを組んで太いパイプをマサさんが作っていかれたと思うんですよ。

　その後、新日本の選手、（佐々木）健介も含めて自分も武藤（敬司）選手もＷＣＷのリングに上がるというような。新日本がドームツアーとか大きな大会の時に必ずやっぱりマサさんの手腕がものすごく大きかったです。

　橋本（真也）選手なんかは、今度はロシア。レッドブル軍団とかね。あの辺の時にマサさんが何か月も張り付いて、向こうの選手に練習付けたりとか。三銃士の育ての親というか、海外行く時は、必ず誰かがマサさんの面倒をみてもらっていました。

　特にｎＷｏの時は、まったくアポなしで渡米してマサさんと２人でハルク・ホーガン、ケビン・ナッシュ、スコット・ホールとかと交渉の時に「行かなきゃわかんねぇな」っていう話で向こうへ行って、ｎＷｏの時は向こうのビジネスに対して、いろんなお話を聞いてもらっていました。そのころはＷＣＷが体制が変わって、ｎＷｏと接触を持とうかっていう時にオフの日にホテルのプールでビジネスの話をして、どうあるべきか、どうすべきかとか向こうがデカい組織だからいかに飲み込まれないようにするとかそういう話をしました。

　マサさんの功績は新日本プロレスの黄金期の現役で上がっている時ともうひとつ取締役として長州さん、マサさんの体制の中ですごいあった。

　マサさんは、ビジネスマンとして、ものすごい綿密なんですよ。思っている以上に細かいアメリカとの契約に関して「絶対にミスはダメだ」と本当に細かいところまでやられていて。自分らは、そういう土台があって、その中で初めてリングに上がって試合ができている状態だったんです。

　マサさんのもう一つの一面というところを自分はずっと１０年ぐらい一緒にやってきていたんで、そういうところから本当にビジネス的には勉強させてもらいました。リングの上、それからリングに上がるまでの裏方としてのビジネスがどうあるべきかっていう、そのすべてを見させてもらっていました。

　ベイダーなんかを連れてきた時もちょうど自分がベイダーとヨーロッパで試合をしていて、（タイガー）服部さんがハノーバーに来て、全日本に決まっていたのが説得に入るんですけど、マサさんが「連れてこい」っていう指令でドイツまで服部さんが交渉に来て。自分は海外にいて見ていなかったんですけど、それでベイダーとしてのデビュー戦、たけし軍団との試合になった。

　マサさんは本当にスーパーエリートの雲の上の方だったんですけど、オレらの世代はオレらに合わせて話を聞いてくれるし、本当にフランクにいろいろな「ここはダメだ」って言ってくれた。よくアメリカのリングに上がった時に言われたのが、アリーナの何万人じゃなくて、テレビのカメラに向かってこっちの何百万人に向かって試合をやんなきゃダメだって言って。だから、マサさんは常にカメラを意識してボストンクラブを決めたら、カメラを探して真正面に自分が来るように決めていた。

　マサさんぐらいですよ。ＷＣＷあたりでスケジュールなしで行って試合を組んでくれるのは。アメリカの選手でもそういう選手はいない。マサさんだけは別格でした。オレらを連れて行ってマサさんが「試合やりてぇな」って言ったらＷＣＷが全米の「マンデーナイトロ」とかでマサさんの試合を入れてアメリカの中で別格でした。オレらの上のホーガン世代でアメリカ人の中でもマサさんの信頼は別格でした。

　マサさんはヒールのお手本の人でした。自分が出過ぎず必ず誰かをうまく引き立てるというか、リング上もそこは徹していた。海外部長としても職人でした。どのポジションにいても職人でした」

　マサさんの出棺時は、追悼のテンカウントゴングが捧げられ、徳光アナが「マサ斎藤！」とラストコール。入場テーマ曲「ザ・ファイト」が流れるなか、坂口氏、前田氏、カン氏、北沢氏、長州、武藤、蝶野、佐々木、西村といったかつて新日本プロレスに所属したレジェンドらが棺を運びマサさんを見送った。