KUSHIDAの新日退団会見で見た“逸材”の心づかい

2019年1月8日11時0分  スポーツ報知
  • 先輩・棚橋からの意表をつく質問に涙をこらえるKUSHIDA

 新日本プロレスのジュニア戦線をリードしてきたKUSHIDA(35)が7日、都内で退団を発表した。今年36歳になるジュニア戦士は1月末の契約満了を機に「世界で活躍したい」と夢の舞台、海外への思いを明かした。

 自身の年齢や仲間のけがを目の当たりにしたことで「プロレスラーとして活躍できる人生の時間はすごく僅(わず)かだなと実感し、夢が湧き上がってきた」と決断の理由を明かしたKUSHIDA。

 一部で米国の超人気プロレス団体WWEへの参戦もうわさされているが、今月末まで新日との契約が存在。「他の交渉ごととか、書類にサインしたりとか、一切ない」と断言し、淡々と会見は進んだ。

 しかし、1人の大物の“乱入”によって会見場の空気が一変した。記者に紛れ、そっと後輩のあいさつを見守った上で「新日本プロレスで楽しかったことと、つらかったことを教えてください」と質問したのは、4日の東京ドーム大会でケニー・オメガ(36)を破り、IWGPヘビー級王者に返り咲いた棚橋弘至(42)だった。

 それまで硬い表情で、退団の経緯を説明してきたKUSHIDAだったが、突然の先輩からの問いかけに仲間と過ごした8年間の月日が頭を駆け巡ったのは想像に難くない。

 その証拠に目には涙があふれ、必死に流れ落ちる熱いものをこらえる、その姿に取材陣も一斉にカメラのレンズを向けた。もし、これが記者からの質問だったとしたら、ここまでKUSHIDAのハートに熱いものは流れなかったかもしれない。

 私は、それまで静かに会見を見守っていた後輩の本音を引き出そうという棚橋の意図を感じた。思わず「ナイスフォロー」と心の中で叫んでしまったが、それは棚橋の“愛”を感じた瞬間だった。

 もしかしたら、KUSHIDAは新日への惜別会見で涙を流したくはなかったかもしれない。しかし、「100年に1人の逸材」の粋な“演出”が後輩の涙を呼び込み、結果、記者の仕事もアシスト。印象に残る会見となった。

 KUSHIDAは影響を受けた先輩に「(獣神サンダー・)ライガーさん、棚橋さん、柴田勝頼さん、真壁刀義さん、そして(レフェリーの)タイガー服部さん」と5人の名前を挙げ、「唯一、肌を合わせていない先輩がいるとするならば、棚橋さんだけになります」と話した。

 退団まで、あと3週間。ヘビーとジュニアでは体格差はあるものの、棚橋―KUSHIDA戦が見たいと思ったのは私だけだろうか?(記者コラム・山本 哲史)

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