女子レーサー密着【オフにつけまい】宮本紀美 柾田敏行と夫婦円満の極意
宮本紀美(54)=東京支部、55期=がこよなく愛する地元の居酒屋がある。オフは毎夜、夫の柾田敏行(65)=東京支部、44期=や常連さんとテーブルを囲んで語らい、お酒とつまみで舌鼓を打つ。今回、いつも通り午後7時にのれんをくぐって乾杯。途中でサプライズゲストもやってきた。(ペン、カメラ・佐々木 伸)
2月某日、いつもの場所でいつもの時間に酒宴が開かれた。柾田敏行&宮本紀美夫妻は1杯目に生ビールをオーダーした。
宮本(以下、宮)「まずはビール。その後は焼酎。赤ワイン、太る日本酒以外は何でも。5杯ぐらいにとどめて…、12時までには帰るようにしています」
柾田(以下、柾)「俺は2、3杯。最後まで付き合っていられないよ」
ここは東京・調布市飛田給。地元民のオアシス的存在の「お酒と食事 いっぷく」だ。柾田&宮本家の夕飯、晩酌は決まって同店。オフの日は、柾田さんいわく「エブリデー」で通う。
宮「通い始めて24、25年かな。子供の保育園の送り迎えの時にお店を見つけて、入ってみたいなと。初めて来たのは子供を連れて敏ちゃんと。今、座っている席でした」
柾「そう? 覚えていないなあ」
つまみは野菜多めのギョーザ、イカ焼き、ブリの刺し身など。
宮「1人でも来られるお店。誰かしらいるので、来ればさみしくない」
2人の出会いはレース場での練習だ。年齢差11才。柾田さんが猛アタックし、得意の“速攻”で交際期間1年未満でゴールインした。
柾「ひっかけた(笑い)」
宮「ひっかけられた」
宮「新宿で結婚式を挙げる予定でしたが、ちょうど府中にホテルがオープンしたばかり。結婚式第1号になれるからと、仲人に勧められて」
ボートレーサーが府中でも“1着ゴール”。子宝にも恵まれ、柾田さんは宮本さんに引退を勧めた。
柾「危ないし。女の子だからね。顔に傷でもついたら大変でしょ」
宮「あの頃は絶好調。A級にも上がった時で…」
宮本さんの母が、現役続行を希望する娘の思いを知り、幼子の面倒を見ると決心。義理の母に説得された柾田さんは折れた。
夫婦レーサーを続けた2人は、結婚してもうすぐ丸32年になる。仲良くいられるコツが気になるところ。
柾「毎日、一緒にいないからかな。いいあんばいで、仕事に行っちゃうし」
宮「休みの日も昼間とかは別行動だしね」
意外!? にもサバサバ。適度な距離感が大事なのか。
宮「今だにバレンタインとか、ちゃんとあげているんですよ」
柾「江戸川の前検にノリを車で送って、家に戻ったらチョコとプレゼントが置いてあった」
うれしそうな柾田さん。プレゼントの洋服をさりげなく着て来店していた。今度はサプライズ返しか。
柾「何とかデーがあったよね。面倒くさいよね(照れ笑い)」
ここでまな娘の憂さんが飛び入り参加。憂さんは昨年8月に結婚して実家を離れ、今月に挙式の予定だ。
柾「ノリと毎日一緒だと、毎日けんかじゃないかな。今までは娘が“ブレイク”してくれて助かっていたけど、今はヤバイんだ」
憂さん「新居が近場なので、私がしょっちゅう実家に帰れば(笑い)。私がお家を出てから、2人はさらに仲良くなったと思いますよ。旅行に行ったり、パパが元々好きな釣りにも2人で行ったりしてますし」
宮「竿を買いました」
憂さん「一緒の趣味ができて、パパはうれしいみたい。私がいなくても仲良くやっていると思います」
最後に少し仕事の話。
柾「レース場に行くのは楽しいよ。いろんな人、若い子と話すのが、若さを保つ秘訣(ひけつ)かな」
宮「私の舟券は3着狙いで買った方が取れると言われますが、夢を見る人は1着買いで(笑い)」
話は尽きず、普段はお酒2、3杯の柾田さんが5杯以上飲み、今回は家族3人仲良く店を後にした。
◆柾田 敏行(まさだ・としゆき)プロフィル
▼生まれ、サイズ…1953年12月22日生まれ。東京都東村山市出身。65才。155センチ。血液型B。
▼成績…44期生として79年5月・多摩川でデビュー。通算962勝。通算84優出4V。気合前面の攻撃的なレースでファンを魅了し、長らくA級で活躍。
▼異色レーサー…中央大学文学部哲学科卒。中央競馬会騎手見習いの職歴がある。取材当日は「競馬は外れたけど、掲示板の菜七子は頑張ったなあ」
◆宮本 紀美(みやもと・のりみ)プロフィル
▼生まれ、サイズ…1964年6月11日、東京都調布市出身。54才。160センチ。血液型A。
▼成績…55期生として84年11月・多摩川でデビュー。通算833勝。通算64優出2V。00年のG1まるがめ女子王座(現レディースチャンピオン)で優勝戦5着。堅実なさばきが売り。
▼趣味はお酒!?…自ら書いたプロフィルにはゴルフと書かれているが、「趣味はない」。取材当日は「お昼に近所のすし店に行って飲んできました。競馬(フェブラリーS)で少しだけもうかりました」
▽取材協力店
お酒と食事「いっぷく」(東京都調布市飛田給2―13―15)TEL042―483―5601
大将は「メニューが170から180もあるんだけど、どれも作れる。お酒もいろいろあるよ」と、話す。日本酒の十四代や鍋島等、こだわりの品ぞろえ。リーズナブルな価格で地元民を癒やす。多摩川レース後に「打ち上げでも使わせてもらっています」と宮本さん。