小田原競輪廃止へ 複数の関係者「見通しは厳しい」最短20年の3月末にも…

スポーツ報知
廃止の方向へ動きつつある小田原競輪場

 神奈川県の小田原競輪が廃止の方向にあることが5日、分かった。この日、小田原競輪場(小田原市営)の運営について、小田原市役所内で総務常任委員会が開かれ、廃止へ向けての検討が開始された。全盛期は500億円以上あった売り上げも、昨年は過去20年で最低の108億4845万6000円。複数の関係者は「見通しは厳しいです」と話した。

 これまでも存廃についての議論は繰り返されてきた。2008年2月に、小田原市競輪事業検討委員会が「基本的には存続させるが、赤字、もしくは赤字が予測される状況となった場合には廃止を検討する」と明言していた。2012、15年度に赤字を計上した際は、施設改修などがあったためで想定内の数字だったが、17年度は特別な支出がないにも関わらず赤字となったのが決定打となった。

 小田原競輪場は、市の財政に貢献してきた実績もあったが、近年は売り上げが低迷。今年の開設記念も、前年を下回る売り上げだった。施設の老朽化も進み、「都市計画上の制限等」により大幅な改修や、新たに照明を設置してミッドナイト競輪を開催するなどの売り上げアップにつながる手を打つことも難しい状況となっている。この日は、廃止になった際の予算総額や、跡地の埋蔵文化財問題などが話し合われ、明るい話題は出てこなかった。

 今後は第三者委員会などを設けずに、市の職員だけで来年の2月に小田原市としての方向性を政策決定後、議会に報告される。通常なら1年ほどかかる審議も、4か月ほどという異例の短期間で終わるだけに、事態の深刻さがうかがえる。廃止が決定した場合、最短で2020年の3月末までとなる予定。競輪場の廃止は、01年以降では14年に廃止された一宮、17年千葉(20年に屋内木製250メートルバンクとして復活予定)に次いで全国で9場目。神奈川県内では、10年の花月園以来となる。

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