小川美咲が引退!「すごく悩んだんですが、引退します」

スポーツ報知
昨年12月に福井市内で挙式・披露宴を行った小川と野原雅也。家族3人、すごく幸福そう

 美咲、引退します。ガールズケイリンのアイドルレーサーとして、ファンから熱い支持を受けていた小川美咲(24)=静岡、女子3期生=が8日に引退を決めた。競輪学校在校中から、注目を一身に浴び続け、ガールズケイリンのPRも中心的な役割を果たしてきた。17年5月に出産。復帰を目指していたが、断念。惜しまれながらバンクを去る。今回は小川のデビューから現在までを振り返る。

 ついに、ついにその時がやってきた。「すごく悩んだんですが、引退します。夫と子供、家庭が一番大切ですから」。電話口からでも分かるすすり泣き。出産後のイベントでは「復帰に向けてトレーニングを開始しました」と幾度となく話し、ファンを喜ばせていた。しかし、小川のかれんな走りをもう見ることはできない。

 幼少の頃から自転車に親しみ、中学生の時は一輪車の全日本チャンピオンにも輝いた。進学した伊豆総合高は、自転車の名門。インターハイのケイリンでは表彰台に上がるなど、高校トップレベルの実力を持っていた。プロになることは自然の流れでもあった。しかし入学後は力を発揮できない毎日。それでも腐らず、黙々とペダルを漕ぎ続けた。「好きな自転車を職業にできるんですから」。在校中は1勝。その1勝も卒業記念レース最後に取ったものだった。

 在校中からマスコミに追いかけられた。追いかけられたというより、注目を一身に浴びていた。実力より人気が先行。デビュー直後には女子のビッグレース「ガールズケイリンコレクション」にファン投票6位で選ばれた。「なんで小川が選ばれるんだ。人気だけでなら他の女子がかわいそうだ」。そんな声も上がった。だが小川は「選ばれた以上、投票してくれたファンの方に迷惑をかけるような走りはしません」と豪語。7人中、5番目にゴールを駆け抜けた。

 2度目のビッグレースは2年後。「1度目はプレッシャーがあった。離れてゴールをするのではなく、集団でゴールするのが目標だった」と話した上で「今回は自信というか、勝負になる。波乱を演出してやろうって」。結果は最下位。レース後、精も根も尽きた小川の姿があった。このレースが一番の思い出だ。

 「復帰しても勝てなければ意味がない」と言い続けてきた。今年に入り本格的に自転車に乗ってのトレーニングを再開。「一生の職業として選手になった。悔いはあります。でも、それ以上に家庭が大切なんです」と切実に訴えた。バンクを去ることは最後の最後まで悩んだ。それだけケイリンを愛していた証拠だろう。

 デビュー前から注目され、あっという間に駆け抜けた4年間。スポーツ報知でもプライベートをさらけ出す「美咲通信」を連載し、好評を博していた。ガックリ肩を落とすファンは多いが、全ては小川の幸福のため。記録より記憶というが、小川の残した足跡は永遠に色あせることはないだろう。

(永井 順一郎)

 ◆小川 美咲(おがわ・みさき)1994年7月31日、静岡県伊東市生まれ。24歳。伊豆総合高卒業。女子3期生。在校成績は1勝で12位。16年11月11日、S級1班の野原雅也(福井)と結婚。翌17年、長女・千紗都ちゃんを出産。168戦8勝、2着21回、3着25回。通算獲得賞金は1355万6700円。159センチ、48キロ。血液型B。

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