【巨人】マギー5番で復活!26打席ぶり安打から復活4号3ラン

スポーツ報知
2回1死二、三塁、長野の適時二塁打で生還したマギーはベンチ前でナインとタッチ

◆巨人6―0中日(11日・東京ドーム)

 味わった全ての悔しさをバットに込めた。マギーのこんな打球を、誰もが待ち望んでいた。8回無死一、二塁。1ボールからの2球目、谷元の高めに抜けたカーブを力で運び去った。「菅野にさらに楽に投げさせてあげられる過程にはなったかな」。高い放物線を描いた白球は、左翼席中段に飛び込んだ。とどめを刺す4号3ランとなった。

 トンネルを抜けた瞬間、本来の姿が戻って来た。2回無死二塁。3ボールから真ん中へ入った直球を積極的に捉えた。痛烈なライナーが中前へ弾む。「安打がなかったとはいえ、自分に対する自信は失っていなかった」。長野の2点二塁打を呼ぶ自身26打席ぶりの安打。一塁上で両腕を天にかざし、安堵(あんど)の表情を浮かべた。4回にも右翼線へ安打を放ち、3安打3打点の大爆発だ。

 屈辱にまみれた。5日のDeNA戦(横浜)で5打数無安打に終わり、その時点で17打席ノーヒット。9回の守備から途中交代となった。責任感の強い男は、自分へのふがいなさからミラールームで膝を抱えて涙を流した。翌6日には今季初めてスタメンを外れた。

 サラ夫人と結婚記念日を祝うディナーを取り「野球のことは一切考えず、リラックスに努めた」という7日の休養日を挟んで、出直した。阪神との初戦となった8日、早出特打を敢行し、他の選手の2倍打ち込んだ。井端内野守備走塁コーチのススメで、三塁より運動量のある遊撃の位置でノックを受け、体にキレを出そうと必死に白球を追った。久々の快音に「ホッとした部分もある。その1本を打つために今までいろいろやってきた」とは紛れもない本音だった。

 指揮官も、復調を“アシスト”してくれた。由伸監督はこの日、岡本をプロ入り後初の3番に据え、4番にはゲレーロ、先発出場時に20試合連続で4番を務めていたマギーを5番と打順を動かした。「岡本を何番にしたとかよりも、チームとしてその日どのオーダーが最善なのかを考えた中で、今日はその形になった」と説明。調子のいい者を積極的に起用する方針を貫きつつ、マギーを4番の重圧からも解き放った。

 自分の26打席ぶりの安打に、苦悩する姿を見ていた他のナインの誰もが拍手を送ってくれた。それが何よりうれしかった。「誰か苦しんでいる人がいたら、それを後押しできるのがいいチームの条件。うちにはそれがある」。苦しんだ日々でつかんだ真の絆。ここから助っ人砲の恩返しが始まる。(西村 茂展)

巨人

×