【巨人】杉内「何とか40歳までやりたい」最後の1軍登板から3年…半端ない苦難

スポーツ報知
グラウンドでのキャッチボールやランニングで調整する杉内(カメラ・矢口 亨)

 巨人・杉内俊哉投手(37)は、15年7月を最後に1軍登板がない。同年10月に手術した股関節の状態は良好だが、術後に発症した左肩痛のため、昨年4月以降ファームでも実戦から遠ざかっている。背番号18が、苦しいリハビリに耐えながらも現役にこだわる理由は? 同学年の中日・松坂の活躍に刺激を受け、3軍リハビリ組で復活を目指す左腕に迫った。(取材・構成=片岡優帆)

 ―連日、G球場では70メートルの遠投、平地で20メートルの距離で力を入れた投球を行っている。表情は明るい。

 「100%全力では投げていないけど、違和感は全くない。腕のしなりも出てきたし、状態は間違いなく良くなっている」

 ―数か月前までは一進一退。ネットに向かって軽い投球だけの日もあった。

 「4月くらいまでは良い時と悪い時の波が大きかった。腕の骨が真っ二つに折られるような激痛で。毎日変な希望があって今日は良いかなと思うけど、ダメか…と落胆して。筋肉をはがすような注射とか生理食塩水を使っても良くならなかった。それが、トレーナーが治療法や練習メニューをいろいろ考えてくれて、ここ最近で一気に良くなった」

 ―1年2か月、実戦登板なし。今後のプランは。

 「今はコンスタントに遠投をできている。今月中にブルペンに入れたらいいなと。7月に実戦で投げたいと思ってやっている」

7月実戦を想定 ―超難関の手術と言われた股関節は良好なのに、思い通り投げられない。自分にとって長く、険しいリハビリのモチベーションは。

 「それはもう一回マウンドに立ちたいという思いが一番。けがってタチが悪くて。打たれれば今年で終わりかなとあきらめがつくけど、投げられれば勝てるという自信が今もある。あきらめるのは息子でもできるから」

 ―長男の咲哉(さくや)くん(中1)は父の背中を追って野球をやっている。

 「あまり口数が多くない息子に『もう一回投げるところ見たい』と言われて。これは頑張らないといけないなと。何とか見せたい」

 ―同学年の松坂は今年、中日で復活。自身と同じ肩痛からはい上がった。

 「あいつも長い間、苦労している。肩はね…気持ちが萎えてしまうというか、我慢して投げられるというレベルを超えてしまう。だからすごいなと思う」

 ―松坂世代は、野球人生の岐路に立つ選手も多い。

 「38歳の年。山本昌さんとか三浦大輔さんを思うとまだまだ。何とか40歳までやりたい。(同い年で昨年まで巨人で一緒だった)村田と実松とボロボロになるまでやると約束したから」

 ―スライダーのコツを伝授した後輩左腕・今村が1軍で2年ぶりに勝利した。

 「やっぱり刺激になる。自分は1軍で3年投げていない。長かった。今、1軍の選手を見ると遠い存在というか、うらやましいというか、輝いて見える。自分もあの場に必ず戻る。その気持ちだけは忘れず、前を向いてやっていきたい」

 ◇G杉内の苦闘の3年間

 ▼15年7月21日 阪神戦(甲子園)で6回途中2失点。現状、最後の1軍公式戦。

 ▼15年10月 球界に前例のない右股関節形成手術。

 ▼同12月 車いす生活を乗り越えて自力歩行開始。史上最大4億5000万円ダウン(90%減)の年俸5000万円で契約更改。

 ▼16年7月19日 3軍のBC武蔵戦(G球場)で1年ぶり実戦。1回無失点。

 ▼同11月 この年2軍で4登板も1軍昇格なし。宮崎秋季キャンプに30代で唯一、参加して投げ込み。

 ▼同12月 現状維持の年俸5000万円で契約更改。

 ▼17年3月16日 キャンプ2軍スタートから好調で、ソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクD)で604日ぶり1軍先発。4回途中3失点で開幕2軍に。

 ▼同4月10日 イースタン・楽天戦(G球場)にこの年3度目の先発。視察した由伸監督の前で5回3失点。この後、左肩を痛めて現状、最後の実戦登板。

 ▼同11月 50%減の年俸2500万円で契約更改。

 ▼18年2月 春季キャンプ3軍で若手と過ごす。ランニングなど股関節は全く問題なし。左肩痛との闘い。

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