タイガー・ウッズ、5年ぶり80勝に「こんなにスマホをかざされた優勝は初めてだよ」

スポーツ報知

◆米男子プロゴルフツアー プレーオフ最終戦 ツアー選手権最終日(23日・イーストレイクGC)

 42歳のタイガー・ウッズ(米国)が、通算11アンダーで5季1876日ぶりの復活優勝を遂げた。首位から71で回って逃げ切り、ツアー通算優勝回数を80に伸ばした。腰痛で戦列を度々離れていたが、1965年までに82勝したサム・スニード(米国)の最多記録更新&4大メジャー最多勝記録更新の期待も出てきた。最終18番では数千人もの観衆を引き連れる「タイガー現象」も復活。前回の優勝だった2013年8月のブリヂストン招待で「タイガー現象」を体験した竹内達朗記者(48)が当時を振り返る。

 世界が待ちわびた光景が広がった。ウッズが2打リードで迎えた最終18番パー5。第2打をグリーン手前のバンカーに運び、後方ギャラリーロープが開放されると、久々の“タイガーマニア”の熱気が充満。ガードマンに先導された最終組のウッズとマキロイを中心に、歴史的瞬間を見届けようと大観衆がまるで大型台風のようにうごめき続けた。

 「USA!」「TIGER!」―。グリーン周りには何重もの人、人、人。異様な熱気の中、ウッズは冷静に15センチのパーパットを沈め、両手を広げて万歳。13年8月以来となる復活Vに「泣かないように必死だった」ととびきりの笑顔で応えた。恋人のエリカ・ハーマンさんと熱い抱擁を交わし「長い道のりだったが、また勝てると信じていた。5年前との違い? こんなにスマホをかざされた優勝は初めてだよ」と喜んだ。

 3打リードで迎えた最終日。代名詞の勝負服、赤いシャツと黒いパンツに身を包んだ。1番で3メートルを沈めてバーディー発進。難コースを安全に攻めて追随を許さなかった。初日から首位を譲らず13年3月以来の完全優勝。5季ぶりは自己最長ブランクVだった。かつて683週間世界ランク1位に君臨。当時ラウンド中は厳しい表情しか見せなかった絶対王者は、どん底を知り、今季は柔らかな笑顔が似合う42歳となっていた。

 4度の腰の手術からツアー復帰したのは今年1月。「昨年は歩くことさえできなかった」と引退も考えた。それから8か月。「ばらばらだったゴルフを少しずつまとめてきた。やっと一つになった」。昨年11月に1199位まで落ち込んだ世界ランクも13位まで戻った。

 来年の4大メジャーでの通算15勝目に期待が膨らんだ。08年6月の全米オープン以降、メジャーVから遠ざかるが今年の全米プロは2位。スニードの米ツアー最多勝記録にも2勝と迫り「いつか追い抜くことができるかもしれない」。帝王ニクラウスのメジャー最多18勝更新も、その目にはっきりと映っている。

 来年10月、千葉県内で大手ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営する「スタートトゥデイ」が大会冠スポンサーとなり、米ツアーが日本初開催予定。完全復活したウッズの雄姿が日本で見られるかもしれない。

 スポーツの歴史上最大の復活劇
 メジャー最多18勝のジャック・ニクラウス(78)=米国=は「とてつもなく誇りに思う。今までよりもスイングは良くなっている。偉大なカムバックだし、偉大な選手だ」とツイッターで祝福。スポーツ専門局ESPN電子版は「スポーツの歴史上最大の復活劇」などと伝えるなど、米メディアも大々的に報じた。

 ◆タイガー・ウッズ 1975年12月30日、米カリフォルニア州生まれ。42歳。生後9か月でゴルフを始め、全米アマ選手権3連覇。21歳でプロ転向。96年にラスベガス・インターナショナルで初優勝。97年に最年少21歳でマスターズ優勝&最年少賞金王。2000年全英オープンで最年少24歳で4大メジャー全制覇。04、05年に日本ツアーのダンロップフェニックス優勝。185センチ、84キロ。前妻との間に1男1女。米ツアー生涯獲得賞金は1億1550万4853ドル(約129億円)。

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