藤田菜七子騎手、JRA女性騎手最多タイの34勝!1日2勝はJRA女性騎手として初めて

スポーツ報知
新潟7Rでライゴッドに騎乗し、JRA女性騎手最多勝タイの通算34勝目を挙げた藤田は笑顔

 競馬界の誇るアイドルジョッキーが歴史に名を刻んだ。藤田菜七子騎手(21)=美浦・根本厩舎=が19日、新潟競馬場で計7鞍に騎乗。JRA所属女性騎手として初の1日2勝をマークし、牧原(現・増沢)由貴子元騎手が持つJRA女性騎手最多勝利記録の34勝に到達した。自身が昨年記録したJRA女性騎手年間最多勝の14勝にも並び、早ければ25日にも新記録が樹立される。

 お盆過ぎの新潟競馬場が熱狂に包まれた。紛れもなく、主役は9日に21歳を迎えたばかりの若き乙女だ。藤田は3Rを6番人気のトニーハピネスで力強く押し切ると、7Rは8番人気のライゴッドでワンサイドゲームの逃げ切り。一気に2勝を積み上げ、歴代No.1に肩を並べた。

 「素直にうれしい。(記録を)周りに言っていただける機会がありましたが、次の一勝を目指すつもりでやってきました」。現役時代のレースはライブ観戦していないが、「目標になっていた」という牧原元騎手に並ぶ偉大な数字。96年のデビューから04年まで9年かけた先達に、3年で届いたのは見事の一語だ。

 「好きなことでは負けたくない。ひとりの騎手として活躍したい」と強い精神力を持つ。王手をかけた3R後の検量室前、トニーハピネスのゼッケンはオーナーの知人の娘で獣医志望の女子中学生に笑顔で手渡した。レースの帰り際でバッグを背負った姿に、ある先輩騎手から「中学生みたい」と言われて複雑な気持ちになったこともある。目標は強さと優しさが同居する“大人の菜七子”。さらなる成長へ、歩みを止めるつもりはない。(豊島 俊介)

 ◇JRA女性騎手初の1日複数勝利 藤田菜七子騎手が新潟3Rトニーハピネス、新潟7Rライゴッドで1着となり、JRA女性騎手としては初となる1日複数勝利を達成。女性騎手はこれまでリサ・オールプレス騎手(旧姓マンビー)が02年4月28日の新潟、15年7月19日の福島で2度達成しており、今回で3例目。

 根本調教師(所属厩舎の師匠)「牧原君の時と比べると、数を乗せてもらっているし、サポートしてくれる環境が良くなっているのは大きい。ただ、そのレースに乗って経験を積んでいくことで、頭で考えるより体で動けるようになってきている。体幹のトレーニングをやったり、モレイラ(騎手)なんかにも貪欲に質問しているみたいだし、まだまだ課題はいっぱいあるけど、思っている以上に成長している」

 細江純子元騎手(競馬評論家)「おめでとうございます。本当にすごいなと思います。以前は『追う力をつけたい』と話していましたが、今はフォームが美しくてきれいなスタイルで乗っていますね。様々なプレッシャーやストレスはあったことでしょう。そういうなかでの一勝は、普通の一勝より重みがありますから。これからもけがなく、無事に乗り続けてほしいですね」

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