【神戸新聞杯】日本ダービー馬ワグネリアン、貫禄の11秒9!心身ともにスケールアップ

スポーツ報知
藤岡康を背に、迫力満点の走りを見せたワグネリアン。馬体も一回り大きくなった

◆神戸新聞杯追い切り(19日・栗東トレセン)

 神戸新聞杯・G2(23日、阪神、3着まで菊花賞への優先出走権)の最終追い切りが19日、栗東トレセンで行われた。始動戦となる日本ダービー馬ワグネリアンは、頭蓋骨を骨折した福永に替わり、藤岡康の騎乗が決定。早速、坂路で手綱を執り、余裕ある手応えで抜群の伸びを披露した。

 全身から推進力がみなぎっていた。ワグネリアンは栗東・坂路を単走。急きょ、コンビが決まった藤岡康の手綱は全く動かないが、全身を大きく使ったフォームで徐々に力強さが増していく。最後まで余力残しながら、53秒6でラスト1ハロンは11秒9。日本ダービー馬の貫禄を感じさせる走りに、友道調教師は「54秒ぐらいということで、予定通り」と満足そうにうなずいた。

 3歳馬の頂点に立った春。トレーナーが常に繰り返していた言葉がある。「(同時期の)マカヒキ(16年ダービー馬)に比べると、完成度はまだまだだと思います」。その思いのぶん、ひと夏を越した姿が待ち遠しかったが、確かな成長を遂げて戻ってきた。

 まずは精神面。春は栗東・CWコースを常歩(なみあし)で1周歩かせるなど我慢を教えつつ、調教を積み重ねてきた。「それでも、春は(落ち着きが)許容範囲かなという感じだった。今は馬場入りの時もゆっくり歩けている。落ち着きが出てきているね」

 さらには肉体面。全体的にひと回り大きくなり、特に、以前は物足りなさもあったトモ(後肢)の力強さがグンと増した。「前のめり気味だった走りが、重心が後ろにかかることで乗りやすくなったと思う」

 心身両面の成長がさらに質の上がった動きを生み出し、ようやく迎える始動戦。今後の路線を決める大事な一戦にもなるが、友道師は確かな手応えを持って、こう口にした。「すごくいい状態に仕上がっています」。一回りスケールアップしたダービー馬が、まもなくターフに戻ってくる。(山本 武志)

 <福永騎手の“代打”藤岡康騎手、早速調教騎乗で好感触>

 緊急事態に頼れる“代打”だ。頭蓋骨骨折などで乗り替わりとなった福永に替わって、藤岡康がワグネリアンとコンビを組むことが決まった。

 もともと、藤岡康は友道厩舎の調教に騎乗することが多く「(騎手で)一番、ワグネリアンに乗っているんじゃないかな」と、急きょ騎乗を依頼した友道師は説明。春の日本ダービーでも2週前、1週前追い切りでしっかりと負荷をかける調教をつけ、競馬の祭典での大仕事に貢献した。

 この日は最終追い切りに騎乗。藤岡康は「調教に関しては春より成長しています。乗りやすくてコントロールも利きやすい。息の入りもよかったです」と、背中越しに好感触をつかんだ。「ありがたい話なので、結果で応えたい」。思わぬ形で舞い込んだ騎乗依頼。最高のエスコートで勝利という結果へ導く。

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