【こちら日高支局です・古谷剛彦】ホッカイドウ競馬が20日ぶりに再開 昼間開催も健闘

スポーツ報知

 25日、ホッカイドウ競馬が再開された。門別競馬場で昼間開催となったのは、08年11月20日以来、約10年ぶりの実施となった。20日ぶりに再開し、約300人が来場。売上額は1億9432万4980円と、昼間開催を考えれば健闘と言える数字を誇った。7日間の開催中止を受け、目標額を大幅に上回っていた2週前の数字から一転、計画比で78.5%(約13億6千万円減)と厳しい数字となったが、当初より3日間の開催延長など、盛り返せる可能性は十分にある。ハッピーグリン(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)が、23日に盛岡競馬場で行われた「OROカップ」を圧勝し、ホッカイドウ競馬の底力をアピールした。次走は「富士S」だが、中央の舞台でも頑張って欲しい。

 「OROカップ」の前日、久しぶりに青森を訪れた。ブリーズアップセールや北海道市場など、国内の競走馬市場の鑑定人で名をはせた青森軽種馬農業協同組合参事の松橋康彦さんが、8月17日に亡くなられた。葬儀がサマーセールと重なっていたので、どこかでお線香を上げたい思いがあり、22日に八戸市のご自宅を訪れた。

 祭壇の横に、JRAから贈られた「感謝状」があった。ブリーズアップセールの創設から運営を支えた松橋さんに、本来は今年のブリーズアップセールの時に贈るはずのものだった。今年も来るはずだったのに、体調を崩し、直前で来られなくなったと慌てていたのを思い出す。直接、松橋さんに渡せなかった感謝状を、葬儀に訪れたJRA関係者が、松橋さんのご家族にようやく渡されたものだった。

 松橋さんのご自宅で、04年にNHK青森で放送された、東北産馬の復活を期待する番組を拝聴した。そこには、松橋さんがインタビューに熱く答えている姿があった。停滞していく八戸市場の復活を期待し、01年に初めて北海道の生産馬を上場させた。東北産馬が主取になる一方、北海道産馬は売れていく。北海道市場でも鑑定人を行っていたことで、セールに挑む上での馬作りの違いを痛感し、ショック療法ではないが、東北の生産者に現実を見せなければ…という思いがあったそうだ。東北の生産者の意識改革は徐々に進み、八戸市場も活気が戻りつつある。

 ご自宅には、松橋さんが掲載されている新聞や雑誌があった。その中に、八戸市場のことで取材した当欄のコラムの切り抜きもあった。いつでも気さくに取材に応じて頂き、東北産馬と八戸市場に対し、熱い思いを常に話してくれた。ウインバリアシオン産駒の人気ぶりに、東北の生産界が元気になりつつある。その中での松橋さんの逝去は大変残念でならない。ご冥福をお祈り申し上げます。(競馬ライター)

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