【スプリンターズS】ナックビーナスの杉浦調教師、“雷神”モレイラ騎手の手綱に期待!

スポーツ報知
モレイラはキーンランドCでナックビーナスを重賞初制覇に導いた

◆第52回スプリンターズS・G1(9月30日・芝1200メートル、中山競馬場)

 秋のG1シーズン開幕とともに“雷神”到来―。第52回スプリンターズS(30日、中山)は、29日から短期免許で騎乗する名手、ジョアン・モレイラ騎手(35)=ブラジル=がナックビーナスの手綱を執る。管理する杉浦宏昭調教師(58)=美浦=は、惜敗続きだった同馬を前走のキーンランドCで重賞初Vに導いた手腕に大きな期待を寄せている。

 歯に衣着せぬ物言いで有名な杉浦調教師が、ためらいもなく賛辞の言葉を連発する。「いい馬に乗っているだけじゃない。動かない感じの馬も、しっかり動かしている」。管理するナックビーナスを、キーンランドCでVに導いたモレイラへの信頼感。今週から再び短期免許で騎乗する“雷神”が、秋のG1開幕戦におけるキーマンだ。

 今夏の札幌開催では75戦31勝。勝率41・3%を叩き出したモレイラのハイライトこそが、自身初のJRA重賞制覇を成し遂げたキーンランドCだろう。逃げ切りを決めた当時のレースを、杉浦師はこう振り返る。「3~4角で抜群の手応え。普通ならあそこでためたくなるんだけどね。早めに仕掛けて押し切ったでしょ。感覚がウチらとは違う」

 ナックビーナスはそれまで重賞は2着2回、3着3回。ゴール前で気を抜く悪癖も影響して、勝ちみに遅い面がネックとなっていた。「馬の特徴はレース前に伝えていない。早めに動かしたのは、それでももたせられる自信があったのか。それとも乗った雰囲気で馬の癖を感じたのか」。自身も騎手から転身したとあって、独特の感性には興味津々だ。

 こんなエピソードがある。「モレイラが乗ったウチの馬でレース後に『本当にバテてるね』と言われた馬がいた。力を出し切るように乗っているんだろう。郷原(洋行)さんが乗る馬もそうだった」。昭和をリードした通算1515勝の名手と同じく、全力を使い切る騎乗。真剣味を欠くナックビーナスとは、相性が最高かもしれない。

 「走り切っている競馬が少ない馬。100%の力を出して、どこまでやれるか。俺も楽しみだよ」。その手綱さばき、要注目だ。(豊島 俊介)

 ◆ジョアン・モレイラ1983年9月26日、ブラジル生まれ。35歳。00年にブラジルで、13年からは香港で騎手免許を取得。日本馬でのG1制覇は16年香港ヴァーズ(サトノクラウン)、17年ドバイ・ターフ(ヴィブロス)などがある。今年10月にはJRA騎手免許の一次試験を受験予定。165センチ、53キロ。血液型B。

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