【こちら日高支局です・古谷剛彦】各セールにそれぞれの個性 来年も活気ある市場を願う

スポーツ報知

 10月24日に繁殖馬セールが開催されるが、競走馬市場においては、オータムセールをもって全日程が終了した。日高軽種馬農業協同組合(以下HBA)が主催した18年の市場は、札幌競馬場で開催されたトレーニングセールに始まりセレクションセール、サマープレミアムセール、サマーセール、オータムセールと続いた。その売却総額は103億9420万円(税別)で、昨年から3億5810万円減ったものの、2年連続で100億円の大台を突破した。

 今年は、選抜市場をセレクションセールとサマープレミアムセールの2段構えで実施。それぞれが200頭弱の上場頭数で行われたが、いずれも約77%の売却率を誇った。ただ、サマープレミアムの方が、平均価格でセレクションより約370万円低かったことを受け、HBAの木村貢組合長は「今年の選抜市場が行われる前に、2つのセールの比較が話題になったことがありました。平均価格に差が出たことで、選抜市場の中でもセレクションをより注視し、上場頭数を増やしながらその質を落とさないような方向性を見いだすことができると思います。またサマープレミアムは、セレクションより1か月遅い日程ですから、馬の成長を考えた形で、販売申込者がそれぞれのセールを選べるような、よりより運営を我々も考えていくべきだと思っています」と振り返った。

 それぞれの選抜市場が案外、早く競りが終わった。このことを踏まえ、前日の比較展示が月曜に行われるセレクションは、もう少し上場頭数を集めて売却総額を伸ばすことができる。また、サマープレミアムは、今年は日曜に比較展示を実施したが、競馬開催日と重なっていたことから関係者の来場が少なく、意義を問われていた。約200頭の上場なら、比較展示と競りを1日で行うことが可能となり、多くの購買関係者が納得する運営ができるものと考えられる。

 サマープレミアムを実施したことで、サマーセールの課題も山積された。上場頭数が約1200頭に及ぶ大規模な市場であるサマーセール。サマープレミアム翌日の8月21日(火)から始めるにあたり、土日の中央競馬開催にぶつけないよう4日間に収めなければならなかったが、今年も1216頭もの頭数が集まり、1日平均で約300頭の市場となった。当然、競りが終わる時間が午後7時近くなる状況もあった。

 「我々は、上場申込を断ることができませんから、大規模なサマーセールをより良く運営をする上で、考えなければならない点は多々あります」(木村組合長)

 それぞれのセールには個性がある。馬の成長や血統背景、各セールに来場する関係者の雰囲気など、販売申込者がどのセールに上場させればより高い評価を受けるかを経験則から考えるようになれば、各セールの上場頭数を健全な方向に促せるのではないか。このように考える市場関係者は少なくなく、販売申込者も同様だ。

 競走馬市場に活気が出たことで、購買登録者数も増えている。セールに参加する人数も増えていることから、今までにない不平不満の声が上がっている点もある。HBAでは購買関係者にアンケートを実施するなど、より良い競りの運営に向け、色々と取り組んでいる。来年も活気ある市場になることを、切に願いたい。(競馬ライター)

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