復帰ウィークに重賞勝ちの北沢伸也騎手「東京の直線は長かった」

スポーツ報知
東京ハイジャンプをサーストンコラルドで制した北沢伸也騎手

 サーストンコラルドは10月14日の東京ハイジャンプ・JG2で6月の東京ジャンプステークスに続く重賞連覇となった。同馬は3か月半ぶりで、騎乗した北沢伸也騎手(47)=も3か月ぶり。人馬ともにブランクを克服した。デビュー29年目の北沢騎手は7月14日に中京で落馬して第4頸椎(けいつい)を骨折。以降、休養していたが、復帰ウィークに会心の騎乗で自身の重賞7勝目。17日、栗東で元気にけいこをつけていた北沢騎手に喜びの声などを聞いた。

 北沢騎手「久しぶりのレースだったけど、30年近くも乗っているから。競馬で乗る馬がいなかっただけで、1か月間、攻め馬をしていたからね。土曜に新潟(シーライオン=障害未勝利2着)で乗ったとき、直線に向いて最後の飛越を終えて追ってきても何ともなかった。『案外いけているじゃん。オレ』と思った。でも、東京で3ハロン、びっしりと行ったら本当にきつい。『直線長っ!!』と思った。残り2ハロンの棒が見えると、だんだん体が動かなくなるのが分かるので、『やばい、やばい』と思った」

 新潟の障害2850メートルは、最後は芝の内回りのため直線は359メートル。対して東京の芝コースの直線は526メートルと長い。それでも最後にヨカグラ(2着)をかわして先頭に立つと、こんしんのリードで押し切った。

 「春の東京ジャンプS(10番人気)は勝ったオレが一番、ビックリした。でも、まぐれじゃなかった。(今回の東京HJは)メンバーはそろっていたけど、具合が良かったからね。いい勝負ができると思っていた。本物だった」

 この勝利でJRA障害通算131勝となり、JRA史上第10位の記録となった。現役トップは熊沢重文騎手の232勝、歴代1位は星野忍現調教師による254勝。騎手にとって乗り鞍の確保が難しい時代だが、ベテランとして確実に存在感を示している。

 「頸椎を骨折して休んでいたけど、そこまでひどいものではなかった。休み中は普通に調整ルームでトレーニングをしたりして過ごしていた。記録に関しては、やっぱり長く続けることができたから」

 このあとは中山大障害・JG1(12月22日、中山)に直行する。14年にレッドキングダムで同G1を勝っており、当時以来の障害G1・2勝目を目指す。だが、未知の舞台だけに、手探りな部分が多い。

 「暮れに関しては4100メートルに適応できるかどうか。4000メートルを越える特殊なコースだから。アップトゥデイトやルペールノエルは何回も経験しているけど、この馬は初めて。あとは重たい斤量(4歳以上の牡馬は63キロ)を背負うのは初めて。何もかも未経験。未勝利のときに中山を走っているけど、そのときとは違う」

 50歳の大台が近づいてきた。最後に何歳までジョッキーとして乗り続けたいかを聞いてみた。

 「そんなこと、考えたことがない。この年齢まできちゃったけど、気持ちが萎えるところが、どこなのか知りたい。心がボッキリ折れるのが、どこなのか分からない」

 気持ちはまだまだ若い北沢ジョッキー。暮れの大障害でもベテランの味を存分に出すつもりでいる。(内尾 篤嗣)

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