【マイルCS】3歳馬ステルヴィオV ビュイック騎手JRA・G1初制覇!

スポーツ報知
ゴール前の激闘を頭差で制し、G1初制覇を飾ったステルヴィオ〈1〉(奥はペルシアンナイト、手前はアルアイン)

◆第35回マイルチャンピオンシップ・G1(11月18日、京都競馬場・芝1600メートル、良)

 第35回マイルCS・G1は18日、京都競馬場の芝1600メートルで行われた。5番人気のステルヴィオが直線で抜け出し、連覇を狙った3番人気のペルシアンナイトに頭差をつけてG1初制覇を飾った。3歳馬Vは史上5頭目。4年ぶりに日本で騎乗したウィリアム・ビュイック騎手(30)=英国=、管理する木村哲也調教師(46)=美浦=もそろってJRA・G1初Vとなった。なお、1番人気のモズアスコットは不利が響いて13着に終わった。

 迷わず手綱を押した。スタート直後。ビュイックは、今まで末脚勝負を続けていたステルヴィオを内ラチ沿いの好位へ導いた。過去10年で2番目に遅い前半3ハロン35秒0というペースで“絶好位”を確保すると、直線は馬群を縫うように追い出しを開始した。ラスト100メートルで先頭のアルアインをかわした後、さらに内から追いすがるペルシアンナイトとの併せ馬。力強く左ステッキを振り下ろし、全身を使って手綱を押す。最後まで加速は鈍らぬまま、頭差で歓喜のゴールに飛び込んだ。

 約4年ぶりの日本での騎乗ながら、ビュイックは「アリガトウゴザイマス」と切り出した。大歓声の中で息をのむような叩き合いを制し、自らの好騎乗でつかんだJRA・G1初制覇。世界各国で数多くのタイトルを手にしてきたが「初めてG1を勝ったような気分。自分にとって、忘れられない一日になります」と満足そうに言葉を続けた。

 4年前に英国のホープと呼ばれていた青年は、世界の名手となって戻ってきた。UAEの王族マクトゥーム家の競走馬管理団体「ゴドルフィン」の主戦となり、世界のビッグレースで活躍。今年は英国ダービーを始め、これが実に7か国目のG1制覇だ。「やっぱり違う。(欧州に)帰ってから、とんでもなくうまくなった」と、ノーザンファームの吉田勝己代表。短期免許開幕週から存在感を見せつけた。

 ステルヴィオにとっても、待望のJRA・G1初制覇だ。古馬の壁を打ち破った3歳馬。その秘めた無限の可能性を、ビュイックも手綱越しに感じ取っている。「もっともっと成長すると思うし、2000メートルもいけると思う。海外を視野に入れてもいい」。今回の滞在期間は約1か月。いきなり鮮烈なインパクトを与えた名手が、秋競馬を熱くする。(山本 武志)

 ◆ステルヴィオ 父ロードカナロア、母ラルケット(父ファルブラヴ)。美浦・木村哲也厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算9戦4勝。総収得賞金は2億7773万円。主な勝ち鞍は18年スプリングS・G2。馬主は(有)サンデーレーシング。

 ◆ウィリアム・ビュイック(William Buick)1988年7月22日、ノルウェー生まれ。30歳。06年に英国で騎手免許取得。10年から英国の名門ジョン・ゴスデン厩舎、14年からはゴドルフィンの主戦騎手を務めている。英国のみならず、仏、UAE、米国、香港など世界各地でG1制覇。JRAは通算230戦22勝。身長169センチ、体重53キロ。

競馬

×