【こちら日高支局です・古谷剛彦】地方から9年ぶり! ハッピーグリンのジャパンC挑戦を応援したい

スポーツ報知

 今シーズンのホッカイドウ競馬が11月15日、全日程を終了した。4月18日の開幕日は、後半4Rが濃霧で中止となる波乱のスタート。また、9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震の影響で7日間の開催中止もあり、厳しい1年であった。しかし、3日間の追加開催を行い、重賞競走の日程を変更してすべて消化し、再開最初の週は昼間開催を実施するなど、主催者は試行錯誤しながら無事にフィナーレを迎えた。

 計画された80日開催のうち、76日を実施。発売総額は251億4342万7050円で、計画額には1億5786万円足りず99・4%に終わったが、前年比では102%と8年連続の売上増を記録した。

 売上を伸ばした最大の要因はインターネット投票で、全体の83・1%(前年比2・2ポイント増)を占めた。この数字は計画比でも僅かながら上回り、初めて200億円を超えた。ハッピーグリンやナイママが、中央の舞台で活躍。毎年、全国区の実力馬が輩出されるハイレベルな競馬に、全国のファンが期待を寄せている表れだろう。

 ナイママはすでに川崎へ移籍したが、ハッピーグリン(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)はホッカイドウ競馬に所属したまま、ジャパンカップに出走する。ハッピーグリンは1月のセントポーリア賞を鮮やかに差し切り、田中淳厩舎にとって嬉しいJRA初勝利を挙げた。夏の北海道シリーズでは、初の古馬相手となった巴賞で僅差3着の後、STV賞ではルメール騎手を背に、1番人気に応える豪快な差し切り勝ちを演じた。富士Sは11着に終わったが、田中淳師は「スローの流れが要因の1つですが、後方からの競馬で自ら動く場面もなく、終始外を回らされる展開で、消化不良の競馬でした」と振り返る。

 キャピタルSとの両にらみでスケジュールを組んでいたが、果敢にジャパンC参戦を決断。地方馬のジャパンC挑戦は、コスモバルク以来9年ぶりとなる。

 田中淳師は「11日は、門別の本コースでハッピースプリント、バスタータイプとの3頭併せを行いました。道営記念の最終調整だったハッピースプリントを先着させる意図があったので、直線では3馬身ほど先着されましたが、ハッピーグリン自身も好時計(5ハロン62秒3)をマークしています。その後、15日と17日は坂路を3本上がっています。17日の3本目には、3ハロン39秒9―1ハロン13秒2を馬なりで駆け上がっています。最終追い切りは21日に行いますが、これまでの最終追い切りよりは単走でも負荷を掛ける意図を持って、少し速めの時計を出すつもりでいます」と話し、富士S後の疲れもなく、G1挑戦に向けてより負荷を掛けた調整をアピールした。

 「中央のG1は初めての挑戦になります。このようなチャンスを頂けるのはオーナーの理解があってのこと。厳しい戦いは覚悟していますが、直線勝負に徹し、ハッピーグリンらしい競馬を見せて欲しいと思います」

 開業12年目を迎えた田中淳師は、今シーズンのホッカイドウ競馬で142勝を挙げ、4年連続4回目のリーディングトレーナーに輝いた。世界に通用する馬づくりをモットーに、屋内坂路を駆使し、14年にはハッピースプリントで交流G1を制した。コスモバルクほどの実績はなくても、中央2勝とオープン特別で2度の入着という戦績は、世界の舞台に挑む上で恥じない成績だ。無欲の挑戦が、ロッキータイガー(船橋所属で85年のジャパンカップ2着)のような大健闘を生むこともある。ハッピーグリンの挑戦を、私も東京競馬場で応援する。

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