【ジャパンC】3歳牝馬Vに挑むアーモンドアイを、松山康久・元調教師が馬体診断!
◆第38回ジャパンC・G1(11月25日・芝2400メートル、東京競馬場)
第38回ジャパンC・G1(25日、東京)で史上2頭目の3歳牝馬Vに挑むアーモンドアイ。「アカデミック競馬」でおなじみの日本ダービー2勝トレーナー、松山康久元調教師(75)が、3冠牝馬の今と、桜花賞やオークス、秋華賞時、さらに父ロードカナロア、母フサイチパンドラとも比較し、馬体診断した。
桜花賞の時は若馬らしく、全体のシルエットがなだらかな稜線(りょうせん)となっていました。薄い皮膚は絹のように良質。顔は品性にあふれ、目元は利発さを感じさせる。鼻孔が大きいのは呼吸機能が優れている証しで、深い口元はハミ受けが良く、学習能力に優れているといった印象でしたね。
秋になると、秋華賞の時は目元の印象から、かん性(気性)が強くなり、表情も豊かになってきました。闘争心が出てきて、目つきも鋭くなってきましたね。
肉体的には前躯(く)、後躯のジョイント部分であるき甲(けい部と背中のつなぎ目)が山みたいになって、発達が顕著。同時に胸囲が成長し、内蔵されている心肺をはじめとした臓器が発育しているのです。腰回りの筋肉と尾根部の発達は走行機能をアップ。心身ともにアスリートになってきました。
当時から1か月半。1週前追い切りでは、牡馬並みのパワーを感じました。追われてからの鋭さが増し、鞍上の指示もさらに理解できるようになっています。鍛錬を通して馬体が充実して、距離の適性も備わっていると思います。
血統から来るクオリティーの高さも感じられます。父ロードカナロアに似て、スピード感のある走り。バネがあり、クッション性に富んでいます。何事にも動じない雰囲気も父の気性が出てきているのでしょう。
名種牡馬サンデーサイレンスの産駒である母フサイチパンドラからは体形と品性の良さが受け継がれています。優しい目つき、皮膚の印象も同様。バランスの良さも、そうでしょう。両親のいいところを受け継いでいます。
曽祖母のセックスアピールは、欧州の名馬エルグランセニョール、トライマイベストを出すなど名種牡馬が誕生しています。血統的背景から裏付けされた素質は、国際レースにおいても全く見劣りしないはずです。(元JRA1000勝調教師)