【こちら日高支局です・古谷剛彦】他地区に期間限定騎乗中の地方騎手による、地元所属でのJRA参戦認めては

スポーツ報知

 有馬記念まであと2週を切った。ジャパンCで7着に健闘したハッピーグリン(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)が、有馬記念に登録した。出走決定順では17番目なので、出走できるか微妙なラインではあるが、「ジャパンCの激走の反動を心配しましたが、意外と回復が早く、状態は本当に良い時なので、オーナーと相談した結果、有馬記念への挑戦も視野に入れました」と、田中淳師は話しており、すでに厳寒期に入った門別競馬場で乗り込んでいる。出走がかなえば、コスモバルク以来9年ぶりの地方馬出走となるが、服部茂史騎手が今週から、期間限定騎乗で船橋競馬に所属していることから、有馬記念での騎乗はできない。

 岩手のラブバレットが、今年の根岸Sに挑戦した時も、主戦の山本聡哉騎手が期間限定騎乗で船橋所属となり、中央の松岡騎手に乗り替わった事例がある。

 額面通りにルールを適用すれば、今その時に所属している馬と一緒に挑戦しなければ、騎乗できない。しかし、この2例のケースは、シーズンオフのある地区のジョッキーであれば、他地区に期間限定騎乗に乗りに行くことは多く、その期間だけは元々の地区の騎手として認めないというのも、何とも不思議な話である。

 外国人騎手の行き来は、割と融通が利く印象はある。しかし、地方騎手だと、このような弊害も生じる。もちろん、このことは地方競馬の免許制度にも関係していることなので、議論の余地は地方側にもあるが、ヤングジョッキーズシリーズなども含め、中央と地方の垣根がなくなりつつある状況の中で、一考すべき問題だと思う。

 同じく、地方馬の中央挑戦にも課題はある。コスモバルクの晩年、中央のG1挑戦に否定的だった声があった。しかし、コスモバルクがシンガポール航空国際Cを制した時、「理事長が指定する外国の競馬の競走等で1着の成績を収めた馬」という項目から、地方馬が出走できるレースは、これまでの指定競走の他、G1及びそのステップ競走となる。G1のステップも限られており、指定競走となると斤量を背負わされる。となれば、G1しか目指す道はなかった。

 ハッピーグリンは昨年、JRA認定競走を勝ったことで、3歳のうちは特別指定競走(特指)に出走できるが、来年はJRA認定の効力がなくなり、指定競走しか出走できなくなる。すべての平地重賞は国際競走となり、外国馬には開放している。しかし、同じ日本にいる地方馬は、限られたレース選択の中で、ビッグレースを目指すしかない。これも不思議な話である。指定競走はこれまで通り実施していくことは望まれるが、それ以外の平地重賞は、国際競走とうたっている以上、中央馬と同じような出走決定順で、地方馬の出走を可能にしていくべき時ではないか。(競馬ライター)

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