【朝日杯FS ヤマタケが見た】“優等生”ファンタジスト、我慢我慢でゴール前きっちり頭差先着

スポーツ報知
しまい重点で落ち着いた走りを見せたファンタジスト(右)

◆朝日杯FS追い切り(12日・栗東トレセン)

 第70回朝日杯フューチュリティS・G1(16日、阪神)の出走馬の追い切りが12日、東西のトレセンで行われた。栗東・坂路で追われた3戦無敗のファンタジストは落ち着いた動き。武豊の朝日杯初Vがかかるロードカナロア産駒の調教内容を、ヤマタケ(山本武志)記者が「見た」で分析した。

 普段から栗東・坂路を中心に取材しているが、2歳馬の追い切りで50秒を切る走りなんて、ほとんど記憶にない。それだけに、ファンタジストが1週前追い切りでマークした49秒5という時計は強烈だった。ただ、今回は距離を延ばして、初のマイル戦。この非凡なスピードが“もろ刃の剣”になるのではないかと思っていたが担当の、とぎ屋助手に面白い話を聞いた。

 「この馬、坂路で80秒でも走れると思いますよ」

 49秒5の猛時計には気の勝った印象を受けるが、1ハロン20秒をかけてゆっくり登坂できるほど、普段はおとなしいという。それを認識させられたのが、この日の最終追い切りだった。「前に馬を置き、我慢させてから抜かせるという感じ」という梅田調教師が説明通りの動き。ヒデノヴィーナス(2歳新馬)を2馬身追走すると、軽くステッキが入ったゴール前で測ったように頭差だけ前に出た。時計も出しすぎずに、52秒8―12秒1。操縦性の高さは十分に伝わった。

 今までは追い詰めることなく、馬任せの仕上げで2戦連続で16キロ、10キロと2けたの馬体増。しかし、この中間は1週前にびっしりと追ったように負荷を強めている。「今回はG1なのでしっかり仕上げています」とトレーナー。大一番への上積みまで計算通りの“優等生”ならば、天才騎手を背に2歳王者の座に手が届く可能性は十分ある。(山本 武志)

<武豊騎手に聞く 「不安材料はジョッキーが朝日杯FSを勝っていないことくらい(笑)」>

 ―ファンタジストとは新馬からコンビを組み、3戦3勝です。

 「しっかりと勝ってくれていますね。着差はあまりない(首、1馬身3/4、鼻)けど、内容がいい。レースごとに体が大きくなっています」

 ―どんな馬ですか。

 「最初は用心深く、気の小さいところもあったけど、使うごとに良くなってきています」

 ―今回は前走からさらに1ハロン延びます。

 「マイルは初めてだけど、超スローで折り合いをつけられた前走(京王杯2歳S)が、すごくいいレースでした。小倉の芝1200メートルでハイペースについていけたし、東京の芝1400メートルのスローでもぴたりと折り合いがついた。センスがありますね」

 ―意気込みを。

 「不安材料は、ジョッキーが朝日杯FSを勝っていないことくらいですね(笑い)。ホープフルSは(騎乗停止で)乗れないから(JRA・G1完全制覇の)今年の達成は無理だけど、リーチをかけたいですね」

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