【有馬記念 シルクレーシング・米本代表インタビュー】3歳ブラストワンピースで18年クラブ躍進の集大成見せる!

スポーツ報知
3歳馬ブラストワンピース(中)が有馬記念でG1初制覇を狙う

◆第63回有馬記念・G1(12月23日・芝2500メートル、中山競馬場)

 第63回有馬記念・G1(23日、中山)に、ハイレベルとされる3歳世代からブラストワンピースが出走を予定している。ダービー5着、菊花賞4着と世代トップクラスの力を示してきたハービンジャー産駒を所有するシルクレーシングの米本昌史代表(43)がスポーツ報知のインタビューに応じ、グランプリへの意気込みを語った。

 ―ブラストワンピースの有馬記念出走を決めた経緯を教えてください。

 「菊花賞後のダメージの回復具合が、今までのなかで一番(順調)でした。背腰に疲れが出やすい馬だったのが、だんだんしっかりしてきたということなんだと思うんですが、年内にもう一戦というところになると、ローテーション的に有馬記念という目標になりました」

 ―その前走の菊花賞は1番人気で4着。ダービーも小差の5着でした。

 「すごくいい脚を使ってくれましたが、展開、位置取りの違いで4着くらいまでの着順が入れ替わっていてもおかしくない、実力きっこうのレースだったように思います。力負けとは全く思っていないです。ダービーは直線の一瞬の出来事で、もしあそこでスムーズに(外へ)出せていれば、とも思いますが、あれは本当に(ワグネリアンの)福永ジョッキーの気持ちが勝っていたということでしょう」

 ―「シルク」の有馬記念といえば、97年のシルクジャスティス(注1)が思い出されます。菊花賞を1番人気(5着)で敗れた3歳馬という点で共通点も多いですね。

 「有馬記念は競馬を普段ご覧にならない方も、すごく注目してくれる最大のイベントだと思います。中山の2500メートルということで、枠順も含めて、いろんな運が必要なレースですが、ブラストは今年の集大成という意味では、いい状態で迎えられそう。本当に楽しみです」

 ―今年はG1・4勝を含む重賞12勝、勝ち星も通算110勝(16日現在)と、クラブとして過去最高の成績を更新しました。

 「今まで経験したことないことを経験させていただいて、ジャパンCも皆さんの記憶にも残るようなレースで1着で帰ってきてくれて、そこに我々の勝負服があるわけですから。本当にすごい一年になったと思います」

 ―躍進の理由はどこにあると考えていますか。

 「トレセンの調教師さんや牧場さんとのコミュニケーションというのが、年を重ねるごとに良くなっているのは感じます。また、競走馬は北海道の牧場から本州に移動してくるわけですけど、携わる人のバトンタッチがスムーズにできるようになり、馬にとってのマイナス要素、ロスのようなものがどんどんそがれて、いい状態でレースにいけるようになっている。状況としてはすごくいい方向にいっていると思います」

 ―その躍進の中心となったアーモンドアイは、来春にドバイ遠征を予定しているとのことですが。

 「目標にはしていますが、ジャパンCが速い時計だったので、やはりそれなりにダメージはありました。幸い、馬は元気そうですが、慎重に見極めながら、目標のレースに向けて、チャレンジしていきたいと考えています」

 ―アーモンドアイもブラストワンピースも、一口はお手頃価格(注2)だったように映ります。

 「ブラストワンピースは1歳時に募集をかけていますので、当時のハービンジャーがそこまで評価されていない時だったと思います。アーモンドアイは一口6万円ですしね。2頭ともお持ちになっている会員さんもいらっしゃると思います。『神』と呼ばれているんじゃないですかね(笑い)」

 ―この2頭に関しては、異例のローテーション(注3)とも言われました。

 「そもそも私自身がこの業界自体がまだ6、7年と短いというところで、みなさんがおっしゃっている既定路線みたいな感覚があまりないということですね。あと、基本的には目標のレースに向けて、どうすれば一番いい状態で迎えられるかを現場の人達が提案してくれて、我々もそれで結果が出るのであれば、そこを一番に優先したいと思った結果ですね」

 ―最後に、改めてブラストワンピースで臨むグランプリへの意気込みを聞かせてください。

 「馬格もありますし、父ハービンジャーの後継種牡馬に近いところにいると思っています。あとはタイトルを取らせてあげたい、という気持ちが本当に強いです。勝負してくれる池添ジョッキーに乗ってもらいますし、他の馬と比べても遜色ない、勝てる力があると思っています。そういう経験もしっかり積んできていますので、期待しかしていません」(聞き手・西山 智昭)

 (注1)ダービーは3番人気で2着。秋は古馬相手の京都大賞典を制し、菊花賞で1番人気に支持されるも5着。次のジャパンCも5着に終わったが、有馬記念で悲願のG1初制覇を飾った。

 (注2)ブラストワンピースは一口価格4万円(総額2000万円)、アーモンドアイは一口6万円(総額3000万円)で募集された。

 (注3)ブラストワンピースは古馬相手の新潟記念(1着)から菊花賞。アーモンドアイは年明けのシンザン記念からトライアルを挟まず桜花賞を制し、秋華賞もオークスからの直行で3冠牝馬に輝いた。

 ◆米本 昌史(よねもと・まさし)1975年、東京都生まれ。43歳。不動産業界を経て、12年1月にノーザンファーム入社。13年1月からシルクレーシングに参画して、14年8月には同代表取締役に就任した。好きなレースはジェンティルドンナとオルフェーヴルが叩き合いを演じた12年ジャパンC。趣味はゴルフ。

 ◆シルクレーシング 1985年に「有限会社シルク」として創業。創業一家の阿部家が福島県の製糸業者であったことから絹(シルク)と命名された。2014年に法人名を「有限会社シルクレーシング」に改称。愛馬会法人は「有限会社シルク・ホースクラブ」で、代表は阿部幸也氏が務める。95年より総口数500口での募集を始め、手が出しやすい一口価格が人気になっている。

競馬

×