【有馬記念 オジュウチョウサン二刀流の夢<3>】長山オーナー「これだ!」オジュウの父ステイゴールドに出資

スポーツ報知

◆第63回有馬記念・G1(12月23日・芝2500メートル、中山競馬場)

 一口馬主の存在を知った長山尚義は、すぐさま「社台ダイナースサラブレッドクラブ(現・社台サラブレッドクラブ)」に入会を決める。「11PMで大橋巨泉が『馬主もどきになれる』という話をしていて面白いものがあるんだなと」。北海道での牧場見学に足を運び、栃栗毛の若駒に目が止まった。馬っぷりの良さに加えて、父ディクタス、母の父ノーザンテーストで「全体的な配合のバランスがいい」と評価。初めての出資馬は、サッカーボーイと名付けられた。

 この父と母の父をかけ合わせた血統からは、それぞれ重賞4勝のイクノディクタスやムービースターなどの活躍馬が多く出た黄金配合だ。芝マイルのジャックルマロワ賞・仏G1を制した父のスピードに、ノーザンテースト系に宿るタフさや底力が成功を後押ししていた。サッカーボーイもマイルCSなどG1・2勝を挙げ、オグリキャップがタマモクロスを倒して「昭和最後の名勝負」と言われた88年の有馬記念3着を最後にターフを去った。

 サッカーボーイの全妹ゴールデンサッシュは、「あの血統は牡馬じゃないとダメ」と、あえて出資を見送った。その妹は中央未勝利で終わったが、繁殖牝馬としてサンデーサイレンスの子を宿した。長山は「サンデーサイレンス自身も覇気が違ったし、馬の違いを感じた。これだと思ったね」と、迷いなく出資を決断した。

 それがオジュウチョウサンの父となるステイゴールドで、7歳時に01年の香港ヴァーズ(G1)やドバイ・シーマクラシック(G2)を制するなど晩年は海外でも活躍。初出資馬のサッカーボーイから始まった運命の糸は、さらなる血統へのこだわりで紡がれていくことになる。=敬称略=(取材・構成、坂本 達洋)

<和田正調教師も期待>

 ○…オジュウチョウサンは18日、美浦・南馬場の角馬場でウォーミングアップを済ませてから、Wコースを周回して体をほぐした。和田正調教師は「前走もだいたい仕上がっていたと思うが、(状態は)16年の中山大障害の時がすごかった。今のところ、それに近いようなところにはきていると思います」と、確実に上昇カーブを描いている。

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