【有馬記念】今月2日に結婚した豪州のアヴドゥラ騎手、愛妻のためにサトノダイヤモンドで「勝たないと」

スポーツ報知
新婚ほやほやのテイラー夫人(左)とアヴドゥラ騎手

◆第63回有馬記念・G1(12月23日・芝2500メートル、中山競馬場)

 競馬界の1年を締めくくる第63回有馬記念・G1は23日、中山競馬場で行われる。10週連続でG1制覇を飾る外国人騎手が、今週も6人スタンバイ。今年初めて日本で短期免許を取得したブレントン・アヴドゥラ騎手(27)=オーストラリア=は、一昨年の覇者サトノダイヤモンドで挑む。今月2日に結婚したばかりの新鋭は、地元・シドニーでバーを経営するマルチな才能を持つ。平成最後のグランプリに参戦する新たな“黒船”から目が離せない。

 愛らしい垂れ目の奥にある、薄茶色の澄んだ瞳。アヴドゥラの視線は期待と自信に満ちあふれている。「オーストラリアでいい成績を残すことができたので、次は世界を見据えよう、と。日本のG1は世界でトップクラスだと思うので、チャレンジしたかった」

 その願いがついにかなった。一昨年の有馬記念を制したサトノダイヤモンドの騎乗依頼が舞い込んできた。「自分の国ではメルボルンCくらいすごい舞台。(パートナーは)2年前の覇者ですし、何とか結果を残したい」と興奮を隠さなかった。

 17/18シーズンに92勝を挙げ、豪州ニューサウスウェールズ(NSW)地区のリーディングを獲得した。今年のゴールデンスリッパーS(エスティジャーブ)など自国でのG1勝ちを「6」まで伸ばして、着実にキャリアを重ねてきた。世界に目を向けるきっかけとなったのが、地元のトップジョッキーで、日本でも活躍しているヒュー・ボウマン。「『日本に行きたい』という話をした時に、エージェントや調教師を紹介してもらいました」と明かした。

 慣れない日本でも、心の支えがあるから頑張れる。今月2日に母国のニール・ペイン元騎手の長女、テイラーさん(27)と結婚。地元でウェディングパーティーを行い、9日から夫人も来日している。「食事面やメンタル面で支えてくれているから、勝たないと!」。顔を寄せ合い、ラブラブパワーを注入した。

 マルチな才能の持ち主でもある。シドニーにあるバー「LIMITED」を経営。これが2店舗目で、今月1日にオープンしたばかり。「レース以外のことに少し興味があって、違うことにチャレンジしたかったんだ。趣味の一つだね。いろんな種類のお酒を用意している。競馬の時は集中するけれど、レースの後にパーッと飲むのが好き。勝った後に行くお店を探さなくていいでしょう」と笑った。日本でも勝ち星を積み重ねている新婚のオーストラリア人騎手が、グランプリで勝利の美酒を味わうかも知れない。(石野 静香)

 ◆ブレントン・アヴドゥラ(Brenton Avdulla)1991年1月18日、オーストラリア生まれ。27歳。07年にオーストラリア騎手免許取得。10年フライトS(シークレットアドマイラー)でG1初勝利を挙げて通算G1・6勝。17/18年シーズンに92勝をマーク。豪州ニューサウスウェールズ地区のリーディングに輝く。今年8月に初来日し、今回が2度目の短期免許。168センチ、53キロ。

<前走反動ないサトノダイヤモンド>

 ラストランへ、火曜は坂路を63秒1でサッと流して調整。翌日の追い切りに備えた。池江調教師は「ジャパンCの反動はなく、いい感じで来ています。歩様も、前走時より今回の方がいい。有馬記念はよく奇跡が起きているので、信じています」と劇的な復活Vを願う。(栗東)

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