昨秋落馬で全治6か月診断の幸騎手、驚異の回復力で今週から復帰 いきなり土日14鞍に騎乗!

スポーツ報知
右肘骨折の重傷を乗り越えて復帰する幸。いきなり土日で14鞍に騎乗する

 “JRAの鉄人”幸英明騎手(43)が今週の京都競馬で復帰する。昨年11月11日に落馬して右肘開放粉砕骨折で全治6か月の重傷。一時は現役続行すら危ぶまれたが、驚異の回復力と懸命のリハビリでわずか3か月足らずでレースに戻ってきた。JRA年間最多騎乗回数の記録を持つ男がいきなり土日で14鞍の手綱を執り、まずは2019年初勝利を目指す。

 騎手人生で最大といえる危機を乗り越え、幸が帰ってくる。「今の医療はすごいですね。ステッキを入れても違和感がないですし、筋力も落ちていません。不安より楽しみの方が大きいです」。先週から調教騎乗を再開し、試運転は完了。週末が待ちきれない様子だ。

 昨年11月11日の京都6R。落馬の影響を受けて他馬と接触、地面にたたきつけられた。右肘の開放粉砕骨折。最初の搬送先で「手の施しようがない」と言われ、次の病院でも「(患部を)開けてみないと分からない」と告げられた。復帰どころか、手が動かせなくなる可能性もある重傷だった。

 診断は全治6か月。手術は成功したが、右手の握力は3キロ程度まで落ち、腕を軽く曲げ伸ばしするだけで激痛が走った。それでも「半年も休んだら居場所がなくなる。早く戻らないと」との一心で入院中は毎日6~7時間に及ぶリハビリに励んだ。患部はプレートとボルト7本で固定し、現在は握力も40キロ台に回復。3か月足らずの復帰にこぎつけた。

 休養中の競馬は欠かさずチェックした。「自分の乗っていた馬は特に。ほかの人が乗って結果が出たりすると、勉強になりますから」と前を向く力に変えた。

 土日とも京都でプレーする。年間1081回騎乗(12年)の最多記録保持者らしく、いきなり14頭の依頼が舞い込んだ。「安心しました(笑い)。もちろん今週から結果を出していくしかないと思っています」。さらに強くなった鉄人の姿が見られそうだ。(吉村 達)

 【幸の復帰までの道のり】

 ▼18年11月11日 京都6Rで落馬負傷。

 ▼同13日 開放粉砕骨折した右肘の手術を受け、成功。全治6か月と診断される。

 ▼同18日 一時退院し、右腕をつった状態で京都競馬場を訪問。「リハビリ次第では(完治が)早くなってもおかしくないということでした」

 ▼同12月 リハビリのための再入院先を退院。

 ▼19年1月17日 早期復帰の見通しを明かす。「思ったより早く復帰できます。来週水曜(23日)から調教に乗って、レースに向けて頑張っていきたいです」

 ▼同23日 栗東で調教騎乗を再開。「下半身は強化していたので、体力は落ちていません」

 ◆幸 英明(みゆき・ひであき)1976年1月12日生まれ、43歳。鹿児島県出身。94年3月に栗東・谷八郎厩舎所属でデビュー。同期には吉田豊、渡辺薫彦(現調教師)がいる。03年にスティルインラブを牝馬3冠に導くなどG1・7勝を含むJRA重賞37勝。ホッコータルマエ、ブルーコンコルドで地方交流G1で16勝を挙げている。167センチ、50キロ。血液型A。

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