【フェブラリーS】菜七子、初G1で5位!Dr.コパオーナー絶賛「次は米ブリーダーズカップ」

スポーツ報知
5着に終わったコパノキッキングをねぎらう藤田菜七子(カメラ・高橋 由二)

◆第36回フェブラリーS・G1(2月17日・ダート1600メートル、東京競馬場、良)

 JRA所属の女性騎手として初めてG1に挑んだ藤田菜七子騎手(21)=美浦・根本厩舎=は、17日のフェブラリーS(東京・ダート1600メートル)でコパノキッキングに騎乗して5着。G1初騎乗Vの快挙はならなかったが、パートナーの力を引き出して大健闘した。レース後、Dr.コパこと小林祥晃オーナー(71)は秋の米G1ブリーダーズCスプリント(11月2日、サンタアニタパーク競馬場)への菜七子とのタッグでの挑戦に前向きな姿勢を見せた。なお、レースはインティ(武豊騎手)が逃げ切ってG1初制覇を果たした。

 憧れの舞台に立っている―。東京競馬場に鳴り響くG1専用のファンファーレで、菜七子は夢の実現を実感した。「いつもは、テレビを見ながら聞いてるファンファーレ。馬場から聞くファンファーレがすごかった。泣きそうになりました」。一瞬の感傷に浸ったが、すぐにゲートに向かうコパノキッキングの首筋をさすって、呼吸を合わせて戦闘モードに。

 スタートを決めると、馬群でもまれることを避け、3コーナー過ぎでは最後方の14番手に。初めて実戦で1600メートルの距離を走るキッキングのリズムを崩すことなく我慢した。勝負の4コーナーも大外へ出すと、そこからゴーサイン。メンバー2位のラスト600メートル35秒2の脚を引き出し、一頭、また一頭とかわしていったが、JRA女性騎手のG1初騎乗は5着に終わった。「もう少し流れてくれればよかったですね。しまいを生かそうと思っていましたが、最後は届きませんでした」と菜七子。憧れの人、武豊がつくったペースの前に敗れ、勝ったインティとは1秒0の差がついていた。

 「大きなレースに乗せてもらって、これからはもっといろんなことを考えて乗れるようにしたいです。(G1は)やっぱり違う景色でした」。そう振り返った菜七子。馬券に絡めず着順は人気を下回った。それでも、菜七子をG1に送り込んだDr.コパこと小林祥晃オーナーは笑顔で迎えた。「距離の心配はなかったね。彼女が外を回して正攻法のレースをしてくれた。彼女の判断が正しかった。本当にうまく乗ってくれました。褒めてあげたい」。初タッグで距離の不安をぬぐい去った21歳を高く評価したのだ。

 小林オーナーはさらなる夢を語る。「キッキングを彼女は乗りこなせると思う。次はどうする? アメリカのブリーダーズカップか。どこでも行くよ」。ダート競馬の本場、米国生まれのキッキングにとって、ブリーダーズCスプリントはより距離適性が高い1200メートルが舞台。この日の手綱さばきなら―。菜七子のG1物語は、まだ始まったにすぎない。(松浦 拓馬)

 ◆ブリーダーズCスプリント 米国競馬の祭典として1984年に創設されたブリーダーズCで2日間(11月第1金曜、土曜)で行う10を超えるG1競走のひとつ。開催競馬場は持ち回りだが、ダート1200メートルでほぼ行われている。昨年までの35回で地元の米国勢が34勝。

競馬

×