【スプリングS】10番人気エメラルファイト皐月賞切符!石川騎手と相沢調教師、師弟でつかんだ

スポーツ報知
ゴール前の接戦を制したエメラルファイト(左)。師弟コンビで重賞初制覇を飾った。右は2着のファンタジスト

◆第68回スプリングS・G2(3月17日、中山・芝1800メートル、良)

 皐月賞(4月14日、中山)トライアルのスプリングS・G2(17日、中山)は、10番人気のエメラルファイトがゴール前の接戦を頭差で制した。鞍上の石川裕紀人騎手(23)=美浦・相沢厩舎=にとっては、自厩舎での重賞初制覇。師弟コンビでクラシック出走への夢をつないだ。2着のファンタジスト、3着のディキシーナイトまでが本番の優先出走権を獲得。

 心の高ぶりを抑えきれなかった。10番人気のエメラルファイトを重賞初制覇に導いた石川は、コースから引き揚げてくる花道で興奮のあまり雄たけびを上げた。「毎日(調教で)乗っているので、精神面のすごい成長は感じていた。相沢先生の馬で勝てたのが、とてもうれしいです」。自身としては重賞2勝目でも、所属する自厩舎での初タイトルに胸いっぱいだった。

 ロスのない好騎乗が光った。好スタートを決めて、先行勢を見る形で内の6、7番手をキープ。勝負どころの4角でスムーズに外へ持ち出すと、追い比べの末にゴール前で頭差抜け出した。「坂が一瞬こたえたけど、外や後ろから来られてグッとひと伸びして、最後は馬の根性に助けられました」と、人馬の信頼関係が接戦でモノを言った。

 石川は17年7月に落馬負傷で左下腿(かたい)骨を骨折。復帰まで約10か月の長期離脱を余儀なくされた。初めての足の骨折は苦しい経験だったが、「もちろん乗れない悔しさはあったが、より馬の異変とかに敏感に感じるようになった」と、馬への向き合い方を見つめ直す機会になった。

 また、故障による焦りもあった石川にとっては、日頃から柔和な表情で何事も「焦らずに」と伝えてきた相沢調教師の存在が欠かせない。14年のデビューから指導してきた所属先の師匠は「声が出たよ(笑い)。そこが何よりもうれしい。今年は年男の2人で重賞を勝つと言っていて、夢がかなった。うまく乗ったよね」とまな弟子の成長に目を細めた。

 今後は在厩調整のまま皐月賞へ。いよいよ師弟コンビでクラシックに挑む。「(課題の)距離は問題ないと思う。楽しみです。このまま無事に行ってくれれば」と相沢師。絆の強さで大きく成長を遂げた人馬が胸を張って大舞台へ向かう。(坂本 達洋)

 ◆エメラルファイト 父クロフネ、母セトウチソーラー(父スペシャルウィーク)。美浦・相沢郁厩舎の牡3歳。北海道浦河町の金成吉田牧場の生産。通算6戦3勝。総収得賞金は8123万円。重賞初勝利。馬主は高橋勉氏。

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