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通算300勝達成 川島信二騎手の背中を押した2人の“レジェンド”

2018年3月10日10時0分  スポーツ報知
  • 3日の阪神3RでJRA通算300勝を達成した川島信二騎手

 メモリアルVまであと1勝に迫ってから5か月半、本当に長かった。川島信二騎手(35)は3月3日、阪神3Rのヒロノライデンで1着になり、JRA通算300勝を達成。昨年9月17日に299勝目を挙げてから82戦を要した。昨年10月5日には栗東でのゲート練習の際に落馬し、胸椎2か所を圧迫骨折して1か月半の戦線離脱もあった。遠い1勝を目指して戦い続けた川島騎手だが、その間、支えてくれたレジェンド2人がいた。

 まずは昨秋、ケガでの休養期間中に励ましの言葉をかけてくれたのは声優界のレジェンド、野村道子さんだった。2004年、川島騎手の結婚式では、当時出演していたテレビアニメ「サザエさん」の磯野ワカメ、「ドラえもん」の源静香(しずかちゃん)の声で祝福メッセージを寄せるなど、以前から深い親交があった。

 「(野村道子さんに)『お会いしたい』と声をかけたら、喜んで会ってくださいました。以前、テレビである声優さんが『私たちは声が命。いつも良い声が出るよう、喉には人一倍気にかけています』と話していたのを思い出し、道子さんに『長年、声優を続けていて声が出なくなる心配はなかったですか?』と尋ねてみると、『私は才能があったから声優を続けられたのよ。次の日、収録があるのに、お酒を飲んでカラオケをしてね。喉に悪いことをしたけど、声が出なくなることはなかったわよ。川島君も騎手をここまでやれてきたということは、才能があるんだからね。変に考え込まないで、頑張って。自分の気持ちのまま、行ってみて』と。この言葉が本当にうれしかったです」

 声優界第一人者のひと言が深く心に響いた。2001年のデビューから今年で18年目。「騎手を続けるしかない」と、気持ちを新たにして馬に乗り続けている。

 ケガが完治し、昨年11月7日に栗東トレセンでの調教に復帰。競馬界のレジェンド・岩元市三調教師(今年2月末で定年)から調教の依頼を受け、そこから縁ができた。テイエムオペラオーを管理した名伯楽が自ら馬上でけいこをつけ、馬から降りても厩舎作業を手伝う姿に刺激を受けた。「とても70歳とは思えません。口を動かすよりも体を動かす。『言葉で説明するよりオレの背中を見ろ』ととらえて、見てきました。引退までの期間、お手伝いさせていただいて本当に勉強させていただきました」と感謝の言葉を口にした。

 川島騎手が自宅に大事に飾っている写真がある。今年2月、きさらぎ賞に挑むスーサンドンの最終追い切りで、岩元師(ティーエスバラに騎乗)と併せ馬を行ったときの写真だ。岩元師にサインをもらい、自分のサインも書き入れて記念の品にしている。「岩元先生は本当に達人です。こっちの馬の気持ちを感じて乗っていただけるから、併せやすいんです。前でいいペースで誘導していただいて最後に気持ち良く抜け出すことができ、理想的な併せ馬ができます。それは達人ならでは。僕は半分の35歳だけど、あと35年も馬に乗れるのかな…」。偉大なホースマンと過ごした時間は貴重な財産となった。

 新たな目標に向けて戦いは続く。「次は400勝、500勝を目指さないといけません。もちろん騎手になった以上はG1も勝ちたいですから」と川島騎手。お世話になった2人のレジェンドに「勝利」という形で感謝の気持ちを示し、そしてケガなく乗り続けてほしい。(記者コラム・内尾 篤嗣)

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