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謙虚で心優しい「小島太元調教師の息子」…石野静香記者の“ウマ”いい話

2018年3月16日14時0分  スポーツ報知
  • 小島太一騎手

 「○○の息子」という肩書は、競馬界ではほとんど意味をなさない。なぜなら、有名ジョッキーの子供だからといって有力馬が用意されるわけではなく、自分で結果を残さなければならないシビアな世界だからだ。

 「負けたり騎乗停止になって家に帰ってくると、八つ当たりがすごくて。仕事から帰ってきたら怖いお父さんでした」。小島太一騎手(32)は、幼少時代の思い出を話す。父親は、騎手として日本ダービーを2度制した小島太元調教師。兄2人は調教助手として働くが、ただ一人、同じ仕事を選んだ。05年にデビューして通算44勝。13年3月を最後に5年間勝ち星から遠ざかるなど、苦しい道のりが続いている。

 所属する小島太厩舎が2月末で解散するのを前に、兄弟3人の座談会を企画し、取材させていただいた。「俺は騎手になれちゃったから。思い通りにいかなかったし、迷惑もかけた。汚点をつけちゃって…」。申し訳なさそうに父親への思いを口にすると、兄の良太助手がすかさず言った。「そこ(騎手)に行けたんだから、太一は言うほど謝る必要はないんだよ。オヤジの願いをかなえたのは、俺でも(兄の)勝三でもなく太一なんだから。何億払ったって、なれない仕事なんだよ」。家族愛に触れて、少し泣きそうになった。

 謙虚で心優しい太一騎手。ある日、厩舎でスタッフが土をならしていると、その音に反応して近くの洗い場にいた馬が突然暴れた。調教師も見ていてピリついたムードになったその時、太一騎手はスッと馬へ近寄って鼻面をなでた。「俺の顔が怖かったんだろう?」と言って自然とスタッフをかばった。父親の定年に伴い、3月からは他の厩舎に移籍。「小島太の息子」の重圧が消えることはないが、新たなスタートを応援したい。

 ◆石野 静香(いしの・しずか)12年入社の28歳。同年10月から中央競馬担当。

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