【ジャックルマロワ賞・ステップレース分析】海外競馬通・成田幸穂がコロネーションSを分析

スポーツ報知

◆ジャックルマロワ賞・G1(8月12日、芝1600メートル・仏ドーヴィル競馬場)

 G1ジャックルマロワ賞(芝直線1600メートル)が8月12日にフランスのドーヴィル競馬場で行われる。

 ジャックルマロワ賞はフランス最高峰のマイルG1。総賞金100万ユーロ(約1億3500万円)、IFHA(国際競馬統括機関連盟)発表の「世界のトップ100 G1レース」にも毎年選出されている大レースだ。過去10年の優勝馬を見ても、2009年のゴルディコヴァ、2014年のキングマンと、それぞれ当概年の欧州年度代表馬を送り出している。

 ジャックルマロワ賞のステップレースは、主にフランスとイギリスのマイルG1が挙げられる。多岐にわたっていて絞りづらいが、数ある前哨戦のなかから、小欄では6月22日のG1コロネーションS(芝1590メートル・英アスコット競馬場)を取り上げたい。過去10年では、イモータルヴァースが2011年にコロネーションS優勝をステップにジャックルマロワ賞を制している。

 コロネーションSはイギリス王室主催のロイヤルアスコット開催で行われる3歳牝馬限定のマイル戦。英愛仏の1000ギニー馬を含む12頭立てで争われた今年は、愛1000ギニー馬アルファセントーリ(牝3歳、愛・Jハリントン夫人厩舎)が優勝した。

 アルファセントーリは道中5番手あたりを追走し、最終コーナーで外を回って進出を開始。残り400メートルでコルム・オドノヒュー騎手に追い出されると、後続をすぐさま引き離し、最後は6馬身の大差をつけて楽勝した。勝ちタイムの1分35秒89はコースレコード。昨年のG1セントジェイムズパレスSでバーニーロイが記録した1分37秒22を1秒33更新した。

 芝6ハロンの英G2ロウザーSの勝ち馬スレディング(牝3歳、英・ジョンストン厩舎)が中団から末脚を伸ばして2着。英1000ギニー馬ビルズドンブルック(牝3歳、英・ハノン厩舎)は後方3、4番手から追い上げたが4着まで。3戦無敗で仏1000ギニー馬となったテッパル(牝3歳、英・シムコック厩舎)は内ラチ沿いの6番手でロスなく進めたが、最後の伸びを欠いて9着に敗れた。

 勝ったアルファセントーリは、5月27日のG1愛1000ギニー(芝1600メートル)でG1初制覇。コロネーションSに続いて、7月13日の英G1ファルマスS(芝1600メートル)も好位2番手からスピードの違いを見せつけて楽々と抜け出し、G1・3連勝を果たした。

 アルファセントーリはコロネーションSのレコード勝ちも示すように、硬い馬場向きのスピードタイプ。一方、ともに重・不良馬場で行われた昨年9月の愛G1モイグレアスタッドSは5着、今年初戦となった4月のG3愛1000ギニートライアルSは10着と、いずれも勝負どころで加速できずに敗れている。500キロを超える大型馬ながら、走法が大跳びのためか、道悪では結果を残せていない。G1・3連勝の内容からも実力は確かだが、ジャックルマロワ賞当日の馬場状態には注意を払いたい。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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