【ジャックルマロワ賞・能力分析】1番人気が有力のアルファセントーリと覇を競う有力馬を分析

スポーツ報知

◆ジャックルマロワ賞・G1(8月12日、芝1600メートル・仏ドーヴィル競馬場)

 仏G1ジャックルマロワ賞が8月12日に迫った。G1・3連勝中の3歳牝馬アルファセントーリが注目の存在だが、同馬のほかにも好メンバーがそろっている。小欄ではアルファセントーリと覇を競う有力馬を紹介する。

 カスカディアン(牡3歳、仏・ファーブル厩舎)は前走の仏G1ジャンプラ賞で2着。重賞初挑戦ながら、ジャックルマロワ賞と同じドーヴィル競馬場・芝直線1600メートルの一戦で鋭い末脚を見せた。

 昨年は3戦2勝、2着1回で2歳シーズンを終了。陣営の期待が大きかった馬で、10月の一般戦(芝1400メートル)優勝を最後に休養に入り、時間をかけて調整されてきた。今年はフランスのクラシックレース(仏2000ギニー、仏ダービー)に参戦するプランもあったようだが、最終的には見送り、6月の一般戦(芝1600メートル)に出走。相手が楽だったとはいえ、後方待機から余裕たっぷりの差し切り勝ちを収めていた。

 管理するアンドレ・ファーブル調教師は、フランスのリーディングトレーナーに輝くこと28回の名伯楽で、昨年のアルヴケールなどジャックルマロワ賞でも最多タイの7勝を挙げている。また、馬主のゴドルフィンとファーブル調教師のコンビといえば、クロスオブスターズ(2017年G1凱旋門賞2着、2018年G1ドバイシーマクラシック3着)、タリスマニック(2017年G1香港ヴァーズ2着)と、JRAによる海外馬券発売レースでも活躍が目立ち、要注意だ。

 そのカスカディアンをジャンプラ賞で破ったのがインテロジャント(牡3歳、仏・シャペ厩舎)。4番手追走から、長く良い脚を使って押し切った。

 インテロジャントは昨年10月のデビュー戦(芝1600メートル)に勝利した後、成長を促すため早々と2歳シーズンを切り上げた。ファブリス・シャペ調教師の期待どおりにパワーアップした同馬は、年明け3戦目となった5月の仏G3ギシュ賞(芝1800メートル)で重賞初制覇。続く6月のG1仏ダービー(芝2100メートル)は4着だったが、勝ったスタディオブマンから約1馬身差と地力の高さを示している。

 ウィズユー(牝3歳、仏・ヘッド厩舎)は前走の仏G1ロートシルト賞(芝1600メートル)を3馬身差で快勝。ジャックルマロワ賞と同舞台で初のG1タイトルをつかんだ。

 2歳時は仏G3レゼルヴォワール賞(芝1600メートル)を含む2戦2勝。ともに道悪ながらスピードの違いを見せつけて楽勝した。7カ月の休み明けで臨んだ5月の仏G1サンタラリ賞(芝2000メートル)で2着、続く6月のG1仏オークス(芝2100メートル)も5着と連敗。いずれも勝ち馬とは小差だったが、やや距離が長かった印象で、現状としてはマイルがベストの条件だろう。

 2009年のジャックルマロワ賞優勝馬でG1・14勝の名牝ゴルディコヴァを手掛けたフレディ・ヘッド調教師は、ウィズユーを「トップクラス」と高く評価している。道悪

を苦にしない点は、アルファセントーリにないセールスポイント。カスカディアン、インテロジャントと同様、早くから将来を有望視されていた逸材だけに注視したい。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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