【凱旋門賞 ヤマタケが見た】悲願達成へ3歳牝馬の積極的な参戦に期待したい

スポーツ報知
史上7頭目の連覇を達成したエネイブル(L.デットーリ騎手)(カメラ・高橋 由二)

◆第97回凱旋門賞・仏G1(10月7日・芝2400メートル・パリロンシャン競馬場、良)

 凱旋門賞に日本から挑んだクリンチャーは、史上7頭目の連覇を果たしたエネイブルから約18馬身離された17着。日本調教馬の挑戦は、今年も厚い壁にはね返された。クリンチャーの遠征に密着したヤマタケ(山本武志)記者が、コラム「見た」で悲願達成への道を探った。

 今回は6年ぶりの凱旋門賞出張だった。日本で圧倒的な強さを誇った12年のオルフェーヴルとは違い、G1勝ちのないクリンチャーは欧州のタフな馬場への適性を見込んでのフランス行き。これまでの日本馬にはない挑戦だったと思う。

 当日の1Rは2歳マイルG1で勝ち時計は1分38秒98で、凱旋門賞は勝ち時計も2分29秒24。願っていた時計を要す馬場だったが、クリンチャーは完敗。全くタイプの違う2度の挑戦を取材したが、日本の悲願達成へ、何が“正解”なのかは正直分からない。

 ただ、今回は現地の騎手や記者は、エネイブルよりシーオブクラスを推す声の方が多かった。その理由を聞くと、必ず「3歳牝馬だから」と。日本馬の挑戦は古馬の牡馬が中心で59・5キロを背負う。3歳牝馬とは4・5キロ差。タフなコースでは大きな差が出る。実際に欧州勢でも古馬牡馬による勝利は07年のディラントーマスが最後だ。

 海外遠征はリスクを伴うもので、若駒ならなおさら。ただ、日本の現状は、大手牧場を中心に育成技術が進化しており、3歳馬だからというリスクは小さくなっている。今週は3冠牝馬誕生がかかる秋華賞が行われるが、凱旋門賞には3歳牝馬の積極的な参戦に期待したい。(山本 武志)

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