【メルボルンC・ステップレース分析】海外競馬通・成田幸穂がコーフィールドC・G1を分析

スポーツ報知
コーフィールドカップのゴール前(カメラ・高橋由二)

 オーストラリア競馬の祭典、G1メルボルンC(芝3200メートル)が11月6日にフレミントン競馬場で行われる。メルボルンCへ向けたステップレースとして、小欄では10月20日のG1コーフィールドC(豪コーフィールド競馬場・芝2400メートル)を取り上げたい。今回の出走メンバーの多くがコーフィールドCを使っており、本番を占う上で重要な一戦となった。

 18頭立てで争われた今年は、イギリスのベストソリューション(牡4歳、ビン・スルール厩舎)が優勝した。重馬場ながら1200メートル通過が1分18秒台というスローペースのなか、道中は4番手を追走。残り800メートルで、後方にいたザタージマハルが我先にと仕掛けて進出すると、ベストソリューションもすかさずスパートを開始。最終コーナーで早め先頭に立って、最後の直線でもそのまま後続の追い上げを封じてみせた。勝ちタイムは2分33秒72。

 半頭差の2着にG1アンダーウッドSの勝ち馬ホームズマン(セン4歳、豪・ハウリー厩舎)。内ラチ沿いの3番手でロスなくレースを進めて末脚を伸ばした。アイルランドのザクリフスオブモハー(牡4歳、愛・オブライエン厩舎)が3着。ヒュー・ボウマン騎手が中団から馬群を巧みにさばいて上位に取りついたが、前の2頭には及ばなかった。

 日本国内の馬券発売で1番人気に推されたヤングスター(牝4歳、豪・ウォーラー厩舎)は7着。後方5番手から直線では大外に出して伸びたが、遅い流れで展開が向かなかった。10着のベンチュラストーム(セン5歳、豪・D&Bヘイズ&デイバーニッグ厩舎)、12着のサウンドチェック(牡5歳、豪・モロニー厩舎)といった後方待機組は、スローペースに泣かされる結果となった。

 日本のチェスナットコート(牡4歳、栗東・矢作厩舎)とソールインパクト(牡6歳、美浦・戸田厩舎)はそれぞれ13着、14着。2頭とも先頭集団の好位にいたが、レース終盤にペースが上がった際に後れを取ってしまった。このあたりは、休み明けに加えて重馬場の影響もあったかもしれない。

 勝ったベストソリューションはこれでG1・3連勝。ベルリン大賞、バーデン大賞とドイツの芝2400メートルのG1を快勝した実力は本物で、充実ぶりを改めて示した。

 コーフィールドCはハンデ戦で、ベストソリューションが最重量の57・5キロを背負っていたのに対し、2着のホームズマンは軽量の53キロ。着差はわずかだったが、4・5キロものハンデ差があったことを思えば、ベストソリューションの走りは上々の内容といえるだろう。

 今回の勝利を受けて、メルボルンCにおけるベストソリューションのハンデが見直されるのではないかと思われたが、2400メートルを超えるレースを経験していないこと、過去40年で57キロ以上の斤量を背負ってメルボルンCに勝った馬が2005年のマカイビーディーヴァ(58キロ)1頭しかいないという歴史的背景なども考慮されて、当初の設定どおり57・5キロに据え置きとなった。

 メルボルンCのトップハンデ馬は苦戦傾向にあり、ベストソリューションにとっては難しいチャレンジとなるのは間違いない。しかし、同馬のオーナーは今年絶好調のゴドルフィン。今回の豪州遠征は、組織を率いるモハメド殿下が決断したという。待望のメルボルンC初制覇へ向けて、陣営の熱量は高く、本番でもやはり軽視できない存在となりそうだ。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。ラジオNIKKEIの「メルボルンカップ実況中継」に出演予定。

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