【香港カップ・能力分析】今年の地元香港勢は手薄…日本調教馬にとって大きなチャンス

スポーツ報知

 G1香港カップが12月9日に迫った。2016年のモーリス以来2年ぶりの優勝を狙う日本調教馬は、サングレーザー、ステファノス、ディアドラの3頭がエントリーしている。過去5年を振り返ると、香港調教馬が3勝、2着3回、3着1回。日本調教馬が2勝、2着2回、3着2回と、香港マイルと同じく、この2大勢力による争いとなっている。昨年の覇者タイムワープは成績不振、安定株の古豪ワーザーは故障で回避と、今年の香港勢は正直に言って手薄。日本調教馬にとって大きなチャンスがめぐってきた。

 今年のポイントは、地元香港のグロリアスフォーエバーの出方だろう。ステップレース分析でも触れたが、前走のG2ジョッキークラブC(芝2000メートル)では、頑として逃げにこだわるタイムワープに対してグロリアスフォーエバーが執ように絡んだため、前半800メートル通過が47秒52という超ハイペースとなった。結果的に共倒れに終わったが、果たして今回もグロリアスフォーエバーが積極的に競りかけるのかどうか。ここが勝負の分かれ目になりそうだ。

 グロリアスフォーエバー(セン4歳、香・ロー厩舎)は、ジョッキークラブCで勝ったイーグルウェイから約1秒4差の6着。先行したパキスタンスター(8着)とタイムワープ(最下位9着)がイーグルウェイから3秒以上も遅れていることを思えば、よく粘っている。極端に競りかけず、自分のペースを守っていれば、結果は違ったはずだ。条件戦(クラス2)とはいえ、今年7月の芝2000メートル戦では3番手から直線で抜け出し、1分59秒53のコースレコード(当時)で勝っている。見限るのは早計だろう。

 シーズンズブルーム(セン6歳、香・シャム厩舎)は、芝2000メートルのG1香港ゴールドC3着の実績があるが、マイラー色が強く決め手に欠ける。ゴールドマウント(セン5歳、香・ギブソン厩舎)は、スローペースの差し・追い込み馬で、今回は展開が向きそうにない。ノーザンスーパースター(牡5歳、香・ミラード厩舎)は、南アフリカのG1ケイプダービー(芝2000メートル)とG1デイリーニューズ2000(芝2000メートル)の勝ち馬。未知の魅力を秘めているが、約1年ぶりの実戦で、香港への移籍初戦となった前走の一般戦(クラス1、芝1600メートル)が6着と案外な結果だった。良化には少し時間がかかりそうだ。

 イギリスのストーミーアンタークティック(セン5歳、英・ウォーカー厩舎)は、7月の独G1ダルマイヤー大賞(芝2000メートル)でG1ドバイターフを制したベンバトルから2馬身3/4差の2着。とはいえ、重賞2勝は芝1600メートルで挙げたもので、本質的にはマイラーだろう。筆者としては今回、日本勢の脅威になり得るのはグロリアスフォーエバーだけと見ている。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。ラジオNIKKEIの「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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