【ドバイ国際競走「海外G1制覇 名牝の蹄跡(2)」】シーザリオの戴冠後押しした人馬の平常心

スポーツ報知
シーザリオが日本調教馬初の米G1タイトルを獲得した05年のアメリカンオークス

◆ドバイ国際競走(3月30日・メイダン競馬場)

 アメリカ独立記念日前日の7月3日。アメリカンオークスに挑んだシーザリオがハリウッドパークに日の丸を掲げた。大外枠から3番手へ。3角手前から動き、勝負どころで早くも先頭に立つと、米国勢を4馬身も突き放した。「ジャパニーズ スーパースター!」。現地の実況が形容した強さで初の米国G1のタイトルを日本にもたらした。

 「彼女のメンタルの強さ、そして僕が開業してすぐで何も知らなかったことですかね(笑い)」。角居調教師は勝因を挙げたが、勝手が違う異国でも力を出せるための準備は怠らなかった。独立記念日を祝う花火の音を遮る覆面を用意したり、洗い場のない米国に備えて栗東の厩舎でもひもでつながずに手入れを行って慣らせた。

 さらに、開業前に技術調教師として従事した森調教師の教えも守った。「日本と同じ仕事のリズムで。いつもと違う仕事をさせないこと」。1人が2頭を担当するトレセンと違い、海外では2人が1頭を手がけることが多く、手の空く時間が増える。普段はしない作業をすることで、知らず知らずのうちに馬がストレスをためてしまう場合もあるからだ。

 「人が長時間いると馬もリラックスできないですからね。スタッフには仕事が終われば食事に行ったりして、日本と同じように過ごすように言いました」と角居師。海外G1・5勝を挙げる角居厩舎もこれが海外初挑戦。手探りのなか、人馬の平常心を保つための努力が戴冠を後押しした。(橋本 樹理)

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